第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

患者管理

[O121] 一般演題・口演121
患者管理06

2019年3月2日(土) 10:35 〜 11:35 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:石井 宣大(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター臨床工学部)

[O121-4] 集中治療室における臨床工学技士での肺エコーの有用性

吉岡 元気1, 管田 塁1, 吉永 修平1, 西中 巧1, 澤村 匡史2 (1.社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 臨床工学部, 2.社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 集中治療室)

【背景】当院では臨床工学技士(以下CE)がICUに常駐しており、補助循環装置や人工呼吸器等の生命維持装置の操作および患者管理や機器のメンテナンスを行っている。ICU患者は、呼吸状態が不安定なことが多く、呼吸困難を主訴とする場合、早急な原因追求が必要となる。その際、胸部X線写真やCT撮影は有効な方法であるが、時間を要することがあるため、肺エコーを用いることで胸水や気胸の有無などを容易にかつ迅速に判断することが可能である。今回、CEが肺エコー操作への取り組みを始めたのでその紹介と有用性について報告する。【臨床経過】2017年12月より、まずエコー担当CE 1名がabcd sonographyによるe-learningとハンズオンセミナーを受講したのち、当院の臨床検査技師により肺エコーの教育を受けた。その後、ICUに携わるCE 12名に座学とハンズオンの勉強会を開催し、2018年4月から肺エコーのトレーニングを開始した。肺エコーで評価するのは、主に気胸、胸水、肺炎、無気肺、肺水腫であり、エコー担当CEが作成したチェックリストにて、所見を「あり、なし、不明」で評価した。それをもとに2018年3月までに全員合格を目標とした所見判断の試験を行った。また、合格基準は1名あたり1ヵ月を目安に、エコー所見を抽出でき、理解していることとした。肺エコーの症例件数は、2018年4月~2018年8月までの5ヶ月間で120件施行した。その中で患者の呼吸状態悪化時に肺エコーを行い、気胸を否定できた事例が3件あった。また、胸水や無気肺の評価を行うことができたため、体位ドレナージ時の参考にすることができた。所見判断の試験は6名合格しているが、CE間での技術習得には勤務体制での研修時間の偏りによるスタッフ経験値の個人差があった。【結論】ICUに常駐しているCEが、患者の呼吸状態悪化時にベッドサイドで気胸を否定できたことは、呼吸器設定変更の迅速な対応につながり、肺エコーは有用であると考えられた。ICUにて肺エコーは、気胸や胸水、無気肺の有無などを容易に判断することができ、胸水や無気肺の評価に関しては、体位ドレナージ等の判断材料の1つとして活かすことができると考えられた。経験値の個人差については、今後、合格者全員で未習得者に指導を行うことで、技術習得時間の短縮および、技術と知識の向上を図り、早期に肺エコーの業務を日常的な診療の1つとして取り入れていきたい。