第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

患者管理

[O122] 一般演題・口演122
患者管理07

Sat. Mar 2, 2019 11:35 AM - 12:25 PM 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:平松 八重子(京都大学医学部附属病院看護部)

[O122-5] ICUせん妄は平成28年度診療報酬改定基準における医療資源消費量を増加させる

古賀 雄二1, 大坂 卓1, 上地 淳2, 岸野 由紀子3, 平松 貴子2, 新 美保恵3 (1.川崎医療福祉大学 医療福祉学部 保健看護学科, 2.川崎医科大学附属病院, 3.川崎医科大学総合医療センター)

【背景】ICUせん妄が入院期間や医療費を増加させるとの海外報告はあるが、本邦の医療経済指標による報告は少ない。
【目的】ICUせん妄発症とICU入室期間、入院期間、医療資源消費量の関連を検証すること。
【方法】国内の大学病院と総合病院の2施設を対象施設とした。平成28年度診療報酬改定が適応される期間内に、心臓血管系手術または食道がん切除術後にICU入室した患者全員を対象患者とした。主要調査項目はICDSC最高得点、ICDSC4点以上継続日数、ICU入室期間、全入院期間、DPCデータDファイルの診療行為に係る行為点数(以下、行為点数)とした。ICDSC最高得点で0点群(以下、A群)、1-3点群(以下、B群)、4-8点群(以下、C群)に群分けした。総行為点数、全入院期間、ICU入室期間についてクラスカルウォリス検定を用いて多重比較し、ボンフェローニ検定で群間比較した。C群のICDSC最高得点と行為点数・ICU入室期間・全入院期間のピアソンの積率相関係数を算出した。有意水準は5%未満とした。対象施設の研究倫理委員会の承認(承認番号3147)を得た。
【結果】対象患者は122名(男性80名)、心臓血管系手術(心臓弁膜症70名、大血管疾患36名)、食道がん切除術(16名)であり、A群32人、B群38人、C群52人であった。各測定項目の平均は、年齢71.3(SD±10.85)歳、行為点数507593.89±220319.02点、ICDSC4点以上継続日数0.78±1.68日、ICU入室期間5.5±3.52日、全入院期間33.2±23.72日であった。A、B、C群ごとの平均は総行為点数(374430.8±140882.30、461026.8±190147.00、623570.2±224529.20)、ICU入室期間(3.4±2.14、5.4±3.37、7.0±3.67)、全入院期間(25.1±11.36、29.0±18.66、41.2±29.76)であった。総行為点数では3群比較(p<0.01)、A群vsB群(p<0.05)、A群vsC群(p<0.01)、B群vsC群(p<0.05)であった。ICU入室期間では、3群比較(p<0.01)、A群vsB群(p<0.01)、A群vC群(p<0.01)、B群vsC群(np)であった。全入院期間では、3群比較(p<0.01)、A群vsB群(np)、A群vsC群(p<0.01)、B群vsC群(np)であった。相関係数は総行為点数0.499(p<0.01)、ICU入室期間0.474(p<0.01)、全入院期間0.482(p<0.01)であった。
【結論】ICDSC最高値上昇により総行為点数が増加する。ICU入室期間はICDSC1点以上で延長する。ICDSC4点以上で入院期間が延長する。ICDSC4点以上ではせん妄最高得点と総行為点数、全入院期間、ICU入室期間は中等度の正の相関がある。