第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

患者管理

[O122] 一般演題・口演122
患者管理07

Sat. Mar 2, 2019 11:35 AM - 12:25 PM 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:平松 八重子(京都大学医学部附属病院看護部)

[O122-4] ルート類自己抜去症例からみた気管挿管患者に対する身体抑制解除フローの検討

安重 七夏1, 齊藤 耕平2, 森安 恵実3, 内藤 亜樹1, 横溝 宗子1 (1.北里大学病院 看護部 集中治療室, 2.北里大学病院 看護部 消化器外科HCU, 3.北里大学病院 RST/RRT室)

【背景】
近年、PICS予防のために人工呼吸管理患者を浅い鎮静状態で管理することが主流となっている。覚醒している患者に対する意思尊重や、せん妄予防のために身体抑制を解除したいと考える一方で、挿管チューブの自己抜管予防のために、身体抑制を解除する判断場面においてジレンマを抱えている。神奈川県内の多施設の看護師が集い、PICS予防の看護について検討する取り組みのひとつとして、『気管挿管患者に対する身体抑制解除フロー』(以下、フロー)を作成し、現在、導入準備期にある。フローを導入することで、判断が統一され、さらに安全な身体抑制解除に繋がると考えている。
しかし、挿管チューブ以外のルート類の自己抜去が多く、それが、フロー導入抑止の一要因となっている。そのため、挿管チューブ以外のルート類の自己抜去症例をフローに当てはめ、身体抑制解除の判断不足について検討した。
【目的】
挿管チューブ以外のルート類の自己抜去症例をもとに、フローに準じた指標の判断不足の有無について検討する。
【方法】
当院ICUにて、調査期間中に身体抑制解除下で発生した挿管チューブ以外のルート類の自己抜去例計11件(GTチューブ7件、EDチューブ4件)について、フローの評価項目に準じて、RASS、CAM-ICU、リスク因子である年齢、認知症・精神疾患・脳疾患の有無、転倒転落やルート類の自己抜去歴の有無、医療者の懸念の有無について後方視的に調査した。
【結果】
フローに沿い、RASS 0から-1かつCAM-ICUにてせん妄なしと評価し、身体抑制を解除できると判断できたケースは6件(54.5%)であった。そのすべての症例は、リスク因子を有しており、65歳以上3件、認知症1件、脳疾患の既往3件、ルート類の自己抜去歴2件、医療者の懸念6件(重複あり)であった。治療への拒否や辻褄の合わない言動、見当識障害等の懸念があったが、身体抑制を解除し自己抜去に至っていた。また、自己抜去発生時にはせん妄を有していなかったが、発生前後の経過においてせん妄起点があった患者が4件であった。
【結論】
リスクがあるから身体抑制をするのではなく、フローの活用により具体的なリスク内容を認識した上で身体抑制の解除を行い、監視への意識を高めることが、安全な身体抑制解除に繋がる。
気管挿管患者に対する身体抑制解除フローは、挿管チューブ以外のルート類の自己抜去を予防する判断指標としても活用できる可能性がある。