第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O123] 一般演題・口演123
リハビリテーション09

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:50 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:高橋 哲也(順天堂大学保健医療学部開設準備室/順天堂大学医学部附属順天堂医院リハビリテーション室)

[O123-5] ICU在室中に肺炎になった脳卒中患者の特徴

菊谷 文子, 伊東 一章 (秋田赤十字病院 リハビリテーション科)

【背景】脳卒中急性期における合併症の頻度は高く、特に肺炎(22%)および尿路感染症(24%)が多い(Langhome)。脳卒中ガイドライン2015では急性期から理学療法や呼吸リハビリテーションなどを積極的に行うことは肺炎の発症を少なくするため勧められている(グレードB)。肺炎のリスク因子としては意識障害やNIHSS、年齢、性別、人工呼吸器装着、瞳孔異常などがあげられている。当院におけるICU在室中に肺炎になった患者の特徴を調査した。検討項目の1つに意識状態の評価ツールでGCSと強い相関があり、挿管の有無にかかわらず評価が可能なFull Outline of UnResponsiveness Score(以下、FOUR score)を使用した。【目的】離床時期やFOUR scoreといった項目がICU在室中の肺炎に影響を及ぼしていると考えた。【方法】対象は2017年4月から2018年3月までに当院の救命救急センターからICUに入室した脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の患者で3日以内の死亡を除外した55名とした。研究デザインは後方視的観察研究としICU在室中の肺炎の有無(以下、肺炎あり/なし)を電子カルテより調査した。さらに肺炎を合併した脳卒中患者の特徴を調査するため、座位開始時期やFOUR scoreを検討項目とした。すべての統計解析にはEZRを使用した。患者の識別には本研究のみで用いる固有番号をつけて個人を特定できないよう管理した。【結果】肺炎あり/なしは12/43名だった。年齢63±17/70±14歳、座位開始までの日数14(11-15)/6(3-9)日に有意差はなかった。FOUR score 6(4-12)/14(7-16)点に有意差があった(p=0.023)。ICU在室中に肺炎と診断されるまでの日数は5(3-7)日だった。ロジスティック回帰分析ではFOUR score(オッズ比0.803、95%CI 0.667-0.966、p=0.019)が独立して有意だった。【結論】FOUR scoreはICU在室中の肺炎において独立して有意であった。FOUR scoreは意識状態や脳幹機能、人工呼吸器を含めた呼吸状態などを評価しており、先行研究と同様に意識障害や瞳孔異常、人工呼吸器装着などがICU在室中の肺炎のリスク因子として考えられた。また、今回の目的の1つである離床時期はICU在室中の肺炎のリスク因子とはならなかった。肺炎ありでは座位開始までに2週間要しており、積極的な介入が出来ていなかった可能性が考えられた。今後、より早期から離床開始することと症例数を増やして検討していきたい。