第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O123] 一般演題・口演123
リハビリテーション09

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:50 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:高橋 哲也(順天堂大学保健医療学部開設準備室/順天堂大学医学部附属順天堂医院リハビリテーション室)

[O123-6] AKI患者での転帰先に影響を与える因子についての検討

田島 茂樹1, 小山内 大地1, 鈴木 貴広1, 横山 健2, 奈良 理3 (1.手稲渓仁会病院 リハビリテーション部, 2.手稲渓仁会病院 麻酔科, 3.手稲渓仁会病院 救急救命センター)

【背景】AKIは様々な疾患から生じる短期的に腎機能が低下する状態である。近年、超急性期病院でPICSなど、長期的なQOLを見据えた早期からの介入が必要とされている。予後予測として、心外術後や人工呼吸器使用患者での転帰先の因子やカットオフ値の報告はされているが、AKIに対しての転帰先の因子とカットオフ値の報告はされていない。【目的】今回の研究ではICU退室時までの因子でAKI患者の転帰先(自宅退院、転院)に関わる因子を検討し、カットオフ値を算出することである。【方法】対象は2016年12月から2018年4月までにICUに入室され、AKIを発症した患者の内、データの過不足がなかった70名(男性45名 女性25名 平均年齢:71.34±11.31歳)。自宅退院群と転院群の2群に分け、群間比較を実施した。評価項目は性別、年齢、身長、体重、BMI、AKI重症度、既往歴の数、人工呼吸器の有無、血液データ(初回介入時、退室時)、ICU入室からリハビリ開始までの日数、ICU在室日数、チェア座位実施の有無、端座位実施の有無、立位実施の有無、ベッドからの離床の有無、MRC合計(初回介入時、退室時)、FSS-ICU(初回介入時、退室時の各項目)、BI(初回介入時、退室時)、IMS(初回介入時、退室時)、FIM(初回介入時、退室時)、CHDF・HDの実施の有無とした。統計学的手法は群間比較(Mann-whitneyのU検定、χ2乗検定)で有意差と効果量を求め、効果量の高い項目を説明変数、転帰を目的変数としてロジスティック回帰分析を実施し、ROC曲線でカットオフ値を算出した。なお、統計ソフトはSPSSver.21を用い、有意水準は5%未満とした。なお、本研究は当院での倫理員会の承認を得ている。【結果】ロジスティック回帰分析の結果、退室時FSSーICUの寝返り(オッズ比2.14 95%信頼区間1.20-3.82)、起き上がり(オッズ比0.43 95%信頼区間0.20-0.95)と退室時FIM(オッズ比1.04 95%信頼区間1.00-1.09)が抽出され、カットオフ値は各々4点(感度92% 特異度58%)、4点(感度68% 特異度64%)、39点(感度92% 特異度61%)であった。得られた回帰モデルはHosmerとLemeshowの検定の有意確率p=0.86、判別的中率は75.7%であった。【結論】AKI患者で自宅退院可能な患者はICU退室時に寝返り軽介助、起き上がり軽介助レベル以上の介助量であり、退室時のFIMは39点以上であった。