[O124-1] ICU専任理学療法士配置による介入方法変更の効果
【目的】 近年ICUからの早期リハビリテーションは一般的な取り組みとなってきている。当院におけるICU専任理学療法士の配置と介入方法の変更が及ぼす効果を調査したので報告する。【対象】H29年1月からH30年6月(18ヶ月)までの期間にて心臓血管外科手術を施行された患者59名(術前歩行不可、重度脳梗塞後遺症、緊急手術、重症合併症、IABP等の補助循環装置挿入、再挿管、透析、極度の不穏、急変、死亡を除く)とした。【方法】H29年4月より ICUの専任理学療法士を配置して介入をした。対象期間18ヶ月において、H29年1月から8月の前期8ヶ月に介入した30名をA群、H29年9月からH30年6月の後期10ヶ月に介入した29名をB群とし、前期のA群は1回60分を2回、後期のB群は1回40分を3回にて実施した。分析は端座位開始日、起立開始日、足踏み開始日、歩行開始日、ICU退室時Functional Status Score for ICU(以下FSS-ICU) 、病棟内トイレ歩行自立日、ICU在室日数、術後在院日数を診療録から後方視的に調査した。統計処理はMann-WhitneyのU検定を用いて有意水準5%とした。【結果】端座位開始日はA群1日、B群1日(N.S)、起立開始日はA群1日、B群1日(N.S)、足踏み開始日はA群1日、B群1日(N.S)、歩行開始日はA群2日、B群1日(P<0.01)、ICU退室時FSS-ICUはA群28点、B群29点(P<0.01)、病棟内トイレ歩行自立日はA群5.5日、B群4日(P<0.01)、ICU在室日数はA群3日、B群2日(P<0.01)、術後在院日数はA群15.5日、B群14日(N.S)となり、歩行開始日、ICU退室時FSS-ICU、病棟内トイレ歩行自立日、ICU在室日数において有意差を認めた。【考察】今回ICU専任理学療法士を配置し、1日3回の頻回介入を行い、歩行開始日、ICU退室時FSS-ICU、病棟内トイレ歩行自立日、ICU在室日数で有意な改善を認めた。頻回介入を行うことにより、1回の実施時間の減少による患者の負担軽減、ICU担当Nsとの情報交換等が密となり、介入時における状態把握及びリスク管理スキルの向上等により、歩行開始日が短縮されかつ身体活動の向上が図れ、早期に自立歩行獲得の効果につながったと考える。【結語】ICU専任理学療法士配置による介入方法変更により、早期歩行が可能となり、基本動作、歩行等の自立度の拡大が図ることができ、ICU内における基本動作等の向上により病棟内トイレ自立までの期間短縮やICU在室日数の減少の効果が得られた。