第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

リハビリテーション

[O124] 一般演題・口演124
リハビリテーション10

Sat. Mar 2, 2019 2:50 PM - 3:50 PM 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:瀬尾 英哉(京都大学医学部附属病院)

[O124-3] OpenICUにおける離床プロトコルの導入が人工呼吸器装着患者の離床状況を向上させ退院時ADLの自立に寄与する

桂田 功一1, 新見 昌央1,5, 樋口 謙次1, 野口 恵美2, 高橋 陽2, 内田 美穂2, 長谷川 意純3, 奥野 憲司3, 鹿瀬 陽一4, 安保 雅博5 (1.東京慈恵会医科大学附属柏病院 リハビリテーション科, 2.東京慈恵会医科大学附属柏病院 看護部, 3.東京慈恵会医科大学附属柏病院 救急科, 4.東京慈恵会医科大学附属柏病院 麻酔科, 5.東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)

【背景】
ICUでの早期離床の有効性が示されている。一方で、当院OpenICUでは安静度を各科で決定しており、有害事象の発生を危惧し積極的な離床が進められない状況があった。

【目的】
離床に関する基準を設定することで、リハビリテーション関連職種のみならずリハビリテーション科以外の医師・看護師と連携し易くなると考えた。そこで患者の意識レベルに応じて離床を進めるステップアップ形式の離床プロトコルおよび離床中の中止基準をICU担当理学療法士が中心となり作成し、各科医師に許可を得た上で2016年10月より運用を開始した。プロトコル導入後は、離床実施前に毎回各患者の基準について多職種で情報を共有した。本研究の目的はプロトコル導入前後での効果を検証することである。

【方法】
対象はプロトコル導入前(2015年1月~12月)と導入後(2017年4月~2018年3月)にOpen ICUに入室し人工呼吸器装着中の内科系疾患患者43例である。(男性 28例女性15例、平均年齢70歳、重症度APACHEIIスコア平均25.1±7.2)
調査項目は、ICU入室からリハビリテーション医療開始までの日数、ICU在室日数、在院日数、ICU入室中最高の離床状況(:ICU Mobility Scale、0活動なし~10自立歩行)、退院時ADL自立度(:Modified Rankin Scale、0まったく兆候がない~6死亡)、転帰(退院・転院・死亡)とした。統計解析では、プロトコル導入前群と導入後群の各項目をt、Uおよびχ2検定を用いて比較した。

【結果】
院内死亡6例、中毒性脳症併発4例、未成年者1例を除外対象とし、導入前群17例、導入後群15例であった。年齢と重症度は群間の差を認めなかった。リハビリテーション医療開始までの日数は、導入前3.4±2.4日/導入後3.7±3.0日、ICU在室日数は10.7±11.5日/11.5±7.7日、在院日数は38.0±30.2日/50.7±30.9日であり、両群間に差を認めなかった。
ICU入室中の離床状況は導入前4/導入後5(中央値)であり有意に向上していた。退院時のModified Rankin Scaleは導入前4/導入後2(中央値)で有意に向上しており、導入後群はADL自立症例の比率が有意に高く転帰においても導入後群は退院例が有意に多かった。

【結論】
離床基準の設定により、ICU内で高い活動に取り組み易くなり、ICU内での活動が退院時ADLの自立に寄与する可能性がある。