第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O124] 一般演題・口演124
リハビリテーション10

2019年3月2日(土) 14:50 〜 15:50 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:瀬尾 英哉(京都大学医学部附属病院)

[O124-5] 当院ICUでのSTの関わりと退院時の摂食状況

森下 翔1, 水谷 元樹1, 常川 正貴1, 坪内 宏樹2, 村瀬 洋敏2, 和田 幸也2, 森 千紗2, 野手 英明2, 川出 健嗣2 (1.一宮西病院 リハビリテーション科, 2.一宮西病院 麻酔科・集中治療部)

【はじめに】集中治療領域におけるリハビリテーションの重要性は近年定着しつつあり、平成30年診療報酬改定でも早期離床・リハビリテーション加算が新設された。しかし、早期離床・リハビリテーション加算では、患者に関わる職種にSTは明記されておらず、本邦における集中治療領域でのSTの関わりはPT、OTに比べ少なく、体系的なプロトコルも存在しない。しかしながら栄養管理はICUにおいて、とても重要な要素である。そこで、当院ICUでSTの関わりと介入した患者の退院時の摂食状況について調査した。【方法】2017年4月から2018年3月までにICU入室患者708名のうち、リハビリ処方のあった患者529名(ST依頼は238名)を取り込み基準とした。その内、48時間以上ICUに滞在し、STが介入した患者144名を対象とし、死亡退院(19名)は除外した。調査項目は年齢、性別、診療科、APACHE II score、挿管期間、再挿管・気管切開の有無、ICU滞在期間、在院日数、退院時の転帰、ICU入室からST開始までの期間、および経口摂取開始までの期間、ST介入頻度、ST介入内容、初回介入時の摂食・嚥下能力のグレード(藤島式嚥下グレード)と初回介入時および退院時の摂食状況のレベルとした。尚、経口摂取だけで1000kcal/日以上の栄養を提供できた日を経口摂取獲得日とした。入院期間中に2回以上ICUに入室した場合は、初回入室のデータを抽出し、カルテより後方視的に調査した。【結果】当院STはICUと一般病棟を兼務で主に6名が関わっており、ICU全入室患者のうちSTへの依頼は238名(33.6%)であった。その中で48時間以上滞在した患者背景はAPACHE II scoreで15.2±6.4、再挿管は7名(5%)、気管切開は2名(1.4%)おり、ICU滞在期間は7.0±4.5日であった。摂食嚥下の関わりが多く、ICU入室からST開始までの期間は3.3±3.2日であった。経口摂取獲得までの期間は7.2±8.4日となり、ICU中の経口摂取開始は90名であった。介入時の摂食状況レベルは、経口摂取なしのLv1~3は58名、経口摂取と代替栄養のLv4~6は20名、経口摂取のみ及び問題なしのLv7-10は66名であった。退院時の摂食状況レベルでは、Lv1~3は8名、Lv4~6は4名、Lv7-10は132名となった。【結論】当院ICUでは全入室患者のうち33.6%でSTの依頼があった。その中でも48時間以上ICUに滞在した患者において、ST開始までは約3日となり、ICU中に62.5%は経口摂取を開始し、91.7%は経口摂取が可能な状態で退院していた。