[O124-7] 理学療法士のICU・CCU配置による理学療法実績の変化と今後の課題
【目的】近年、ICU・CCU(以下ICU)における早期リハビリテーションが、せん妄発症率の低下やADLの改善、入院期間の短縮に有効であると報告されている。当院では2017年10月より、ICUへの理学療法士の配置(以下PT配置)を開始し、午前・午後1時間半ずつICUに常駐し理学療法を実施している。本研究の目的は、PT配置による理学療法実績の変化から今後の課題を明らかにし、ICU入室患者に対する理学療法充実のための一助を得ることである。【方法】ICU入室中に麻酔科より理学療法処方のあった患者のうち、死亡例を除外した患者を対象とし、2016年10月1日から2017年3月31日までの19例(平均年齢64.1±16.2歳)をPT配置前群、2017年10月1日から2018年3月31日までの11例(平均年齢65.7±18.9歳)をPT配置後群として、疾患を内科・外科に分類した。調査項目は理学療法開始までの日数、1日平均実施単位数、1日の理学療法複数回実施率、ICU在室日数、離床(端坐位)開始までの日数とし、当院電子カルテより後方視的に情報収集し比較した。統計処理として、χ2検定、およびMann-WhitneyのU検定を行い、危険率5%を優位水準とした。【結果】2群間(PT配置前群vs.PT配置後群)において、疾患分類に有意な差は認められなかった。1日平均実施単位数は、1.46±0.46 vs. 1.98±0.49となり有意な差を認めた。1日の理学療法複数回実施率は、PT配置前0%からPT配置後64%に増加した。理学療法開始までの日数(4.21±1.94vs. 3.27±1.71日)、ICU在室日数(12.87±7.97日vs. 8.63±4.85日)、および離床(端坐位)開始までの日数(10.73±8.90vs. 9.50±8.47日)においては、2群間に有意な差は認められなかったものの短縮傾向であった。【考察】PT配置が開始されたことにより、1日に理学療法を複数回実施することが可能となり、理学療法介入時間が増加し、ICUにおける理学療法の充実という目的に対して量的側面は向上し、ICU在室日数の短縮、および早期離床に繋がった可能性が考えられた。今後の課題として、処方基準の見直しや離床基準を検討する必要があるとともに、PT配置により患者の身体機能や運動能力、ADL、および将来的予後にどの程度の影響があるのか等の、理学療法の質的側面に対しての検証も行う必要がある。