[O126-5] 当院集中治療室入室患者の自宅退院時における運動耐容能の低下に関連する因子の検討
【背景】 集中治療室(以下、ICU)入室患者に起こる合併症の一つとして運動耐容能の低下が挙げられる。また、ICU入室患者に生じた運動耐容能の低下は遷延し、長期的な生活の質に影響を及ぼすと言われている。自宅退院時に運動耐容能が低下する因子についてICU入室中から把握し、予測することが重要と考えられるが、関連する因子については不明である。 【目的】 本研究の目的は、当院ICUに入室した患者に自宅退院時における運動耐容能の低下に関連する因子を検討することである。 【方法】 対象者は、2017年5月から2018年7月の間に当院ICUに入室し、理学療法(以下、PT)を行い下記の項目が全て評価可能であった39名(年齢70.6±9.8歳、男性27名、女性12名)とした。評価項目は身長・Sequential organ failure assessment score(以下、SOFA score)ICU滞在日数・挿管期間・PT開始までの日数・端座位開始までの日数・自宅退院までの日数、ICU退室時の評価として握力・ Medical Research Council sum score(以下、MRC score)・Functional Status score for the ICU(以下、FSS-ICU)の各項目の点数、自宅退院時の運動耐容能の評価として6分間歩行距離(以下、6MD)をカルテより後方視的に調査した。統計処理は、6MDと年齢・身長・SOFA score・ICU滞在日数・挿管期間・PT開始までの日数・端座位開始までの日数・自宅退院までの日数・ MRC scoreとの相関にPearsonの相関係数を、6MDとFSS-ICUの各項目の点数との相関にSpearmanの相関係数を用いて相関分析を行った。次に従属変数を6MD、独立変数を6MDと有意な相関関係にあった項目としてステップワイズ法による重回帰分析を行った。統計ソフトはSPSS(ver.22.0)を使用し有意水準は5%とした。 【結果】 6MDと有意な相関を認めたのは年齢、身長、FSS-ICU項目の端座位および立ち上がりの自立度、FSS-ICUの合計点数であった。ステップワイズ法による重回帰分析の結果、年齢(B=-5.24、p<0.001)、FSS-ICU項目の端座位(B=62.45、p<0.001)が抽出された。 【考察】 本研究より、年齢とICU退室時のFSS-ICU項目の端座位の自立度は、当院ICU入室患者における急性期病院退院時の運動耐容能に関連する因子である可能性が示唆された。