[O133-1] 血液浄化療法の有用性を示唆したカフェイン中毒の2症例
【背景】近年、市販薬の過剰摂取などによるカフェイン中毒の報告が散見される。中毒量を摂取することは比較的容易で、循環不全や神経学的異常を引き越こす。血液浄化療法が有効とされ血液吸着や高流量持続血液透析などが試みられているが定まった適応や実施方法は無い。今回カフェイン中毒に対して血液透析(以下HD)を施行し回復した症例2例を経験したので報告する。【症例1】28歳男性。自殺目的に市販薬(カフェイン500mg/3錠)を108錠内服、約1時間後に救急搬送された。来院時GCS E4V5M6、BP114/84mmHg、HR 140 pm、RR 21/min、活性炭は投与せず頻脈に対しランジオロールを持続投与開始し入院とした。入院後頻回に嘔吐し誤嚥による呼吸不全で人工呼吸管理を要し、頻脈も持続したため第2病日に約3時間のHDを1回施行した。終了後頻脈は改善、カフェイン血中濃度の参考としたテオフィリン血中濃度も低下した。その後併存していた電解質異常の治療を行い軽快退院した。【症例2】30歳男性。自殺目的に市販薬(カフェイン200mg/錠)を100錠内服、約1時間後に救急搬送された。来院時GCS E4V5M6、BP 100/60mmHg、HR 105bpm、RR 20/min、活性炭を投与したが、入院後も嘔気と頻脈が持続し、高乳酸血症(121.2mg/dL)も認めたため約4時間のHDを1回施行した。終了後症状は改善し、第3病日に軽快退院した。【結論】カフェイン中毒に対し、症状や血液ガス所見を参考に適応を判断し、4時間程度のHDを行うことは有効である。今後カフェイン中毒患者が搬送され血液浄化療法の必要性があった場合、医師と臨床工学技士で条件を検討し、より適切な治療が提供できるよう貢献していきたい。