[O134-2] クエン酸抗凝固による自作透析液を用いた持続的腎代替療法の経験
【背景】
2012年3月に発表されたKidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO)ガイドラインでは、禁忌 (重度肝機能障害、循環不全を伴うショック) の患者を除いて、持続的腎代替療法 (CRRT) の抗凝固薬としてクエン酸が第一選択とされている。当院ICUでは、2011年3月より出血合併症が懸念される症例に限定しクエン酸の使用を開始、今後は適応を広げたいと考えている。クエン酸を用いたCRRT (クエン酸CRRT) にはカルシウムフリーの透析液が必要であるが、本邦では市販されていないため、2013年9月より専用の透析液を自作し臨床使用している。今回、その経験を報告する。
【目的】
自作した透析液を使用したクエン酸CRRTが安全に施行できるか検証した。
【方法】
単一施設の後ろ向き観察研究。2015年8月から2018年4月にクエン酸CRRTを施行した18歳以上の成人患者を対象とした。主要アウトカムとして、安全性(クエン酸蓄積、クエン酸による代謝障害、透析終了理由)を評価した。
【結果】
対象患者は33名で、67本の透析膜が使用された。クエン酸蓄積を示唆する代謝性アシドーシス (pH <7.20) やカルシウム比の異常 ((総カルシウムmg/dl)対(イオン化カルシウムmmol/L) >10))は認められなかった。また、クエン酸による代謝障害は、代謝性アルカローシス (pH >7.50) 8件 (24%) 、高ナトリウム血症 (>150mmol/L) 2件 (6%) で、低カルシウム血症 (<0.9mmol/L) は認められなかった。67本の透析膜の終了理由としては、凝固28件 (42%) 、間欠透析に移行16件 (24%) 、抗凝固剤変更7件 (10%) 、手術3件 (5%) 、アルカローシス3件 (5%) 、その他10件 (14%)で、抗凝固剤変更の多くは臨床的にヘパリン投与を必要とした症例(5件)であった。
【結論】
一過性の代謝性アルカローシスおよび高ナトリウム血症は認められたが、副作用により透析の中断に至った症例は少なく、重篤な合併症は認められなかった。自作した透析液を使用したクエン酸CRRTは、安全に施行できることが示唆された。
2012年3月に発表されたKidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO)ガイドラインでは、禁忌 (重度肝機能障害、循環不全を伴うショック) の患者を除いて、持続的腎代替療法 (CRRT) の抗凝固薬としてクエン酸が第一選択とされている。当院ICUでは、2011年3月より出血合併症が懸念される症例に限定しクエン酸の使用を開始、今後は適応を広げたいと考えている。クエン酸を用いたCRRT (クエン酸CRRT) にはカルシウムフリーの透析液が必要であるが、本邦では市販されていないため、2013年9月より専用の透析液を自作し臨床使用している。今回、その経験を報告する。
【目的】
自作した透析液を使用したクエン酸CRRTが安全に施行できるか検証した。
【方法】
単一施設の後ろ向き観察研究。2015年8月から2018年4月にクエン酸CRRTを施行した18歳以上の成人患者を対象とした。主要アウトカムとして、安全性(クエン酸蓄積、クエン酸による代謝障害、透析終了理由)を評価した。
【結果】
対象患者は33名で、67本の透析膜が使用された。クエン酸蓄積を示唆する代謝性アシドーシス (pH <7.20) やカルシウム比の異常 ((総カルシウムmg/dl)対(イオン化カルシウムmmol/L) >10))は認められなかった。また、クエン酸による代謝障害は、代謝性アルカローシス (pH >7.50) 8件 (24%) 、高ナトリウム血症 (>150mmol/L) 2件 (6%) で、低カルシウム血症 (<0.9mmol/L) は認められなかった。67本の透析膜の終了理由としては、凝固28件 (42%) 、間欠透析に移行16件 (24%) 、抗凝固剤変更7件 (10%) 、手術3件 (5%) 、アルカローシス3件 (5%) 、その他10件 (14%)で、抗凝固剤変更の多くは臨床的にヘパリン投与を必要とした症例(5件)であった。
【結論】
一過性の代謝性アルカローシスおよび高ナトリウム血症は認められたが、副作用により透析の中断に至った症例は少なく、重篤な合併症は認められなかった。自作した透析液を使用したクエン酸CRRTは、安全に施行できることが示唆された。