[O134-3] NVポリマーを用いたポリスルホン膜からなる持続緩徐式血液濾過器の性能評価
【背景】
急性血液浄化療法において、血液濾過器の血液凝固による緊急の交換は、患者の失血や感染のリスクが高くなり、スタッフの負荷が増加するためできるだけ避けたい。慢性維持透析に使用されているNVポリマーを使用した膜は血小板やフィブリノーゲンの接着が抑制されるとの報告があり、急性期に用いる持続緩徐式血液濾過器においても有用な可能性がある。そこで今回我々は、既存のポリスルホン膜(SHG)とNVポリマーを使用したポリスルホン膜(開発品)について、動物血を使用したCHF実験により血球付着量を比較検討した。
【方法】
1頭から採取したブタ血液を1Lに分け、補液を使用せず濾液を循環血液に戻す全循環方式で急性血液浄化を模擬したex vivoでの CHF実験を実施した。血液流量は100 ml/min、濾液流量は20 ml/min、実験時間は24時間とし、ACTが300~400秒になるようにヘパリンの量を適宜調節しながら実施した。評価項目は、実験中のTMPとフィルタ入口圧と出口圧の差(AV差圧)の経時変化、実験前後の純水濾過係数(Lp)、実験後の血球細胞付着量(抽出液のヘモグロビン(Hb)濃度およびLDH酵素活性値より評価)とした。
【結果】
実験開始時のTMPはSHGが43.0±4.5(SD) mmHg、開発品が42.2±4.3 mmHg、24時間後はSHGが53.9±6.1 mmHg、開発品が51.2±5.6 mmHg であった。どちらも経時的に上昇したものの24時間で急上昇することはなく、また両群間で有意差はなかった(n=10)。AV差圧も同様の傾向を示した。実験開始前および24時間経過後のLpは2つのフィルタ間で差はなく、24時間経過後のLp維持率もSHGが43.0±4.5%、開発品が43.7±6.4%と同等であった(n=10)。24時間経過後の抽出液中のHb濃度およびLDH活性は開発品がSHG比べ有意に低値を示した(n=9; Hb濃度:p=0.0078、LDH活性:p=0.0195)。
【考察】
SHGに比べ開発品の血球細胞付着量が少なかったのは、NVポリマーにおける血小板やフィブリノーゲンの接着の抑制が影響していると考えられた。
【結語】
開発品は既存のSHGより圧力変化や実験後の純水濾過係数に差はないものの、血球細胞の付着量が少なく、安定した使用が可能と考えられた。
急性血液浄化療法において、血液濾過器の血液凝固による緊急の交換は、患者の失血や感染のリスクが高くなり、スタッフの負荷が増加するためできるだけ避けたい。慢性維持透析に使用されているNVポリマーを使用した膜は血小板やフィブリノーゲンの接着が抑制されるとの報告があり、急性期に用いる持続緩徐式血液濾過器においても有用な可能性がある。そこで今回我々は、既存のポリスルホン膜(SHG)とNVポリマーを使用したポリスルホン膜(開発品)について、動物血を使用したCHF実験により血球付着量を比較検討した。
【方法】
1頭から採取したブタ血液を1Lに分け、補液を使用せず濾液を循環血液に戻す全循環方式で急性血液浄化を模擬したex vivoでの CHF実験を実施した。血液流量は100 ml/min、濾液流量は20 ml/min、実験時間は24時間とし、ACTが300~400秒になるようにヘパリンの量を適宜調節しながら実施した。評価項目は、実験中のTMPとフィルタ入口圧と出口圧の差(AV差圧)の経時変化、実験前後の純水濾過係数(Lp)、実験後の血球細胞付着量(抽出液のヘモグロビン(Hb)濃度およびLDH酵素活性値より評価)とした。
【結果】
実験開始時のTMPはSHGが43.0±4.5(SD) mmHg、開発品が42.2±4.3 mmHg、24時間後はSHGが53.9±6.1 mmHg、開発品が51.2±5.6 mmHg であった。どちらも経時的に上昇したものの24時間で急上昇することはなく、また両群間で有意差はなかった(n=10)。AV差圧も同様の傾向を示した。実験開始前および24時間経過後のLpは2つのフィルタ間で差はなく、24時間経過後のLp維持率もSHGが43.0±4.5%、開発品が43.7±6.4%と同等であった(n=10)。24時間経過後の抽出液中のHb濃度およびLDH活性は開発品がSHG比べ有意に低値を示した(n=9; Hb濃度:p=0.0078、LDH活性:p=0.0195)。
【考察】
SHGに比べ開発品の血球細胞付着量が少なかったのは、NVポリマーにおける血小板やフィブリノーゲンの接着の抑制が影響していると考えられた。
【結語】
開発品は既存のSHGより圧力変化や実験後の純水濾過係数に差はないものの、血球細胞の付着量が少なく、安定した使用が可能と考えられた。