第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

多臓器関連

[O135] 一般演題・口演135
多臓器関連

Sun. Mar 3, 2019 8:45 AM - 9:45 AM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:新井 正康(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター・集中治療医学)

[O135-1] 臓器不全患者における高ビリルビン血症と細胆管反応の関係

加藤 文崇1, 蛯名 正智2, 加藤 隆之2, 藤井 恵美2, 水野 隆芳2, 清水 淳次2, 山根 哲信2, 田畑 貴久2, 辻田 靖之2, 江口 豊2 (1.滋賀医科大学 総合診療部, 2.滋賀医科大学 救急集中治療部)

【背景】 多臓器不全患者においては、直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症がしばしば観察されるが、その原因については未だ明らかとはされていない。細胆管反応は肝障害時に出現するとされ、胆管様の構造物が出現するものの総胆管への交通は無いとされ、微小な閉塞性黄疸の原因となりうることが考えられる。 【目的】 病理検体標本を用いて、後ろ向きに細胆管反応と死亡時のビリルビン値の相関につき調査を行った。明らかな胆道閉塞機転の存在する疾患は除外した。 【方法】 2004年より2012年までに滋賀医科大学にて死亡後24時間以内に病理解剖が行われた症例の肝臓標本に対し、抗Cytokeratin 7抗体による免疫染色を行い、管状構造を伴うCytokeratin 7陽性細胞群(Cytokeratin陽性管状構造数)を計測し、最終採血時の総ビリルビン値との相関関係を調査した。 【結果】 73例の肝臓標本にて調査を行った。男性45例、女性28例、平均年齢は61歳であった。Cytokeratin陽性管状構造数は、優位に最終採血時の総ビリルビン値と相関した(相関係数0.296, p=0.011)。最終採血時に直接ビリルビンを測定した症例は多くなく、今回の高ビリルビン血症が直接ビリルビン優位であるか否かは調査できなかった。 【結論】 病理解剖時の総ビリルビン値はCytokeratin陽性管状構造数と相関した。臓器不全時のビリルビン上昇には、細胆管反応による微小な閉塞性黄疸が原因である可能性が示唆された。