[O136-4] 2018年夏に集中治療を要したIII度熱中症5例の予後不良因子の検討とその対策
【背景】2018年夏は全国的に記録的な猛暑であった。京都市においても7月から8月の間に真夏日が25日、猛暑日が32日あり、特に最高気温が38度以上の日が13日あった。当院へも熱中症患者が多数搬送されたが、重症例の転帰には大きなばらつきを認めた。
【目的】重症のIII度熱中症症例の転帰に関与する要因を検討し、アウトカム改善のための介入方法を探る。
【方法】2018年7月から8月に熱中症のために当院救急外来を受診したのべ125例(男性66例)のうち、集中治療室への入院を要した5例についてカルテを後方視的に検討した。
【結果】熱中症による救急受診者は猛暑日が連続している期間に多い傾向があった。年齢分布は二峰性で、20歳以下の若年者と76歳以上の高齢者が多かった。入院は13例(III度10例、II度3例)あり、うち5例を集中治療室で管理した。これらは男性4例女性1例、平均年齢は73.8歳でいずれも高齢者であった。5例ともIII度熱中症で、屋外での労作性のもの3例、屋内での非労作性のもの2例、深部体温の平均値は41.8度(41.4から42.0度)であった。体温を下げるために全例で冷却輸液を行ったほか、2例で蒸散冷却、1例で血管内冷却カテーテル、1例でゲルパッドによる水冷式体表冷却、1例で冷水シャワーによる冷却を併用した。全例が入室時に中枢神経症状を呈していた他、肝腎機能障害を伴っていたものが3例、DICと診断されたものが3例あった。最終転帰はADL良好な状態での転院2例、ADL不良な状態での転院2例、死亡1例であった。予後不良な3例に特徴的であったのは、深部温を39℃以下に冷却するのに要した時間が長かったこと(平均209分対45分)およびDICの合併(DICスコア平均7.3対1.5)であり、意識障害、肝腎機能障害、横紋筋融解症の程度などに一貫性は見られなかった。
【結論】集中治療を要する重症III度熱中症では、体温を速やかに冷却することが予後改善に重要であることが示唆された。これを踏まえ、当院では熱中症対処プロトコールを救急外来に明示し、搬入後1時間以内に深部温39度以下、2時間以内に38度以下とする治療目標を周知した。気象条件が異なるために比較は出来ないが、受診したIII度熱中症症例の体温を39度以下まで冷却する時間はプロトコール導入後に短縮される傾向にあった(導入前後各5例:平均126分対39分)。本プロトコールの有効性については来季以降も検証していく方針である。
【目的】重症のIII度熱中症症例の転帰に関与する要因を検討し、アウトカム改善のための介入方法を探る。
【方法】2018年7月から8月に熱中症のために当院救急外来を受診したのべ125例(男性66例)のうち、集中治療室への入院を要した5例についてカルテを後方視的に検討した。
【結果】熱中症による救急受診者は猛暑日が連続している期間に多い傾向があった。年齢分布は二峰性で、20歳以下の若年者と76歳以上の高齢者が多かった。入院は13例(III度10例、II度3例)あり、うち5例を集中治療室で管理した。これらは男性4例女性1例、平均年齢は73.8歳でいずれも高齢者であった。5例ともIII度熱中症で、屋外での労作性のもの3例、屋内での非労作性のもの2例、深部体温の平均値は41.8度(41.4から42.0度)であった。体温を下げるために全例で冷却輸液を行ったほか、2例で蒸散冷却、1例で血管内冷却カテーテル、1例でゲルパッドによる水冷式体表冷却、1例で冷水シャワーによる冷却を併用した。全例が入室時に中枢神経症状を呈していた他、肝腎機能障害を伴っていたものが3例、DICと診断されたものが3例あった。最終転帰はADL良好な状態での転院2例、ADL不良な状態での転院2例、死亡1例であった。予後不良な3例に特徴的であったのは、深部温を39℃以下に冷却するのに要した時間が長かったこと(平均209分対45分)およびDICの合併(DICスコア平均7.3対1.5)であり、意識障害、肝腎機能障害、横紋筋融解症の程度などに一貫性は見られなかった。
【結論】集中治療を要する重症III度熱中症では、体温を速やかに冷却することが予後改善に重要であることが示唆された。これを踏まえ、当院では熱中症対処プロトコールを救急外来に明示し、搬入後1時間以内に深部温39度以下、2時間以内に38度以下とする治療目標を周知した。気象条件が異なるために比較は出来ないが、受診したIII度熱中症症例の体温を39度以下まで冷却する時間はプロトコール導入後に短縮される傾向にあった(導入前後各5例:平均126分対39分)。本プロトコールの有効性については来季以降も検証していく方針である。