第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

家族支援

[O138] 一般演題・口演138
家族支援

2019年3月3日(日) 08:45 〜 09:45 第11会場 (国立京都国際会館1F Room C-2)

座長:比田井 理恵(千葉県救急医療センター)

[O138-5] 救命救急センターにおけるグリーフケア活動の現状報告

上村 由似1, 高橋 恵3, 川上 大輔1, 桐本 千恵美1, 横溝 育美1, 増田 正和1, 片岡 祐一2, 浅利 靖2 (1.北里大学病院 救命救急災害医療センター 看護部, 2.北里大学医学部 救命救急医学, 3.北里大学病院 移植医療支援室)

【背景】当院救命救急センターでは、年間約2500名の患者が搬送され、約半数は集中治療管理を受けるが、そのうち治療の限界を迎え死の転帰を辿る患者も少なくない。患者に訪れた突然の事象と向き合うことが困難な患者・家族へのグリーフケアは極めて重要であるが、本邦ではグリーフケア体制がしっかり構築されている救命救急センターは少ない。当院救命救急センターでは救急科医師、精神科医師、看護師、ソーシャルワーカー(MSW)、グリーフケア専門家のオブザーバーが参加するグリーフケアカンファレンス(以下GCC)を2015年より開始している。【目的】救命救急センターにおけるグリーフケア活動の現状と課題を明らかにする。【方法】2018年4月1日から8月31日までの期間、グリーフケア介入した297名を対象とし、そのデータベースから介入状況を後方視的に検討した。【結果】GCCで情報を共有した入院患者は124名、外来死亡患者は173名。平均在院日数4日。患者の平均年齢60歳(14歳~91歳)。患者のキーパーソンは配偶者44%、両親20%、子20%、兄弟8%、その他6%、不在2%。GCCでの取り扱いは1患者あたり、1回70%、2回16%、3回2%、4回以上12%。GCCで検討した内容は、受容過程支援のための『IC調整』『環境調整』、家族内の『関係構築』のサポート、家族に対する『情緒的サポート』、家族が思いを表出できるような『場の調整』、キーパーソンの重圧を緩和するための『キーパーソンを支える人材の確保』や『代理意思決定支援』、などである。これらの支援に対して他職種介入を調整できたのは全体の21%で、内訳は地域サポート3件、MSW19件、リエゾン医5件であった。患者の転帰は、死亡退院18%、転院8%、転棟45%、自宅退院9%であった。外来死亡や入院後死亡退院となった際に、キーパーソンへ当院で作成したグリーフカードを配布している。【結論】多職種で開催のGCCであるが、問題の抽出までに留まっているケースが多く、患者やキーパーソンのグリーフケアを行うための課題は多い。また、入院患者の在院日数は短く、他病棟との連携が必要である。今後はグリーフケア専門家を活用した具体的な介入方法の検討が必要である。さらに、グリーフカードの効果を検証し救命救急センターにおけるグリーフケアの在り方を検討したい。