[O145-4] MinIONを用いた迅速細菌同定システムの臨床応用への取り組み
【背景】敗血症治療には迅速な抗菌薬投与が必須である。臨床現場で迅速に病原菌同定ができれば有益な情報となる。近年今西らは、細菌の16S rRNA遺伝子解析を応用しOxford Nanopore Technologies(ONT)社の新規シークエンサーMinIONを用いた迅速細菌同定システムを構築した(PMID:28720805)。このシステムには、サンプル処理、PCRによる16S rRNA領域増幅、MinIONによるシークエンス、データ解析という工程があり、臨床現場で数時間以内に細菌同定するにはその工程を簡便にする必要がある。
【目的】MinIONを用いた迅速細菌同定システムを臨床現場で簡便に行える工程を作成する。
【方法】まず、10種の細菌を含む菌体成分サンプル(MSA-2003)を用いてサンプル処理方法について検討した。市販キットを用いたDNA抽出法、直接法(DNA抽出なし)、ビーズ破砕法の3方法を比較した。次に、ゲノムDNAサンプル(MSA-1000)を用いてPCR条件を検討した。PCR時間の短縮可能なKAPA2G Robust HotStart DNA polymerase(KAPA2G)とONT社が推奨するLongAmpを用いた方法を比較した。最後に、細菌同定に必要なシークエンス時間を検討した。すべての実験は、16S barcoding kit (SQK-RAB204)で16S rRNA領域を増幅させMinIONでシークエンスを行った。出力された結果をAlbacoreでbase callingし配列探索ツールであるMinimap2で細菌を同定した。
【結果】3つのサンプル処理方法は、含有する細菌の同定数、同定した割合に差を認めなかった。ただし、直接法では他の方法に比べて大腸菌と同定する割合が多かった。KAPA2GはLongAmpに比べ結果に大きな差を生じずにPCR時間を48分間短縮した。シークエンス時間は3分間で9種の細菌を同定し含有する細菌を同定した割合は9割を超えた。5分、30分間とシークエンス時間を延長しても結果に大きな差は認めなかった。
【目的】MinIONを用いた迅速細菌同定システムを臨床現場で簡便に行える工程を作成する。
【方法】まず、10種の細菌を含む菌体成分サンプル(MSA-2003)を用いてサンプル処理方法について検討した。市販キットを用いたDNA抽出法、直接法(DNA抽出なし)、ビーズ破砕法の3方法を比較した。次に、ゲノムDNAサンプル(MSA-1000)を用いてPCR条件を検討した。PCR時間の短縮可能なKAPA2G Robust HotStart DNA polymerase(KAPA2G)とONT社が推奨するLongAmpを用いた方法を比較した。最後に、細菌同定に必要なシークエンス時間を検討した。すべての実験は、16S barcoding kit (SQK-RAB204)で16S rRNA領域を増幅させMinIONでシークエンスを行った。出力された結果をAlbacoreでbase callingし配列探索ツールであるMinimap2で細菌を同定した。
【結果】3つのサンプル処理方法は、含有する細菌の同定数、同定した割合に差を認めなかった。ただし、直接法では他の方法に比べて大腸菌と同定する割合が多かった。KAPA2GはLongAmpに比べ結果に大きな差を生じずにPCR時間を48分間短縮した。シークエンス時間は3分間で9種の細菌を同定し含有する細菌を同定した割合は9割を超えた。5分、30分間とシークエンス時間を延長しても結果に大きな差は認めなかった。