[O15-5] ProAQTを指標にすることで敗血症性ショックの循環管理をバゾプレシン単剤とした1症例
【目的】ProAQTの有効性を経験したため,報告する。【症例】ICU入室中の57歳,男性。消化管穿孔のため緊急手術を施行された。【背景】生体腎移植後,維持透析,消化管出血【臨床経過】術中輸液が約5,000mLでNAD0.1γ投与下で帰室した。帰室後,敗血症性ショックと判断しPMMA-CRRTを開始。NAD+VA+ステロイドの投与で初期蘇生を図った。術後2日目,適宜輸血製剤投与をしながらも,末梢血管抵抗指数(SVRI)低値を認めていた。CIは担保されていたため,NAD+VAからVA単剤管理とした。以降,SVRIは落ち着き循環の安定化を得たため,SVRIを指標にVAを漸減していったものの,SVRIは増大傾向であった。そのため,術後3日目にてNAD・VAはすべて中止した。術後4日目にProAQTで得られるデータを指標としてCRRTによる除水を500mL/hで継続し,同日抜管した。以降は水分出納及び溶質貯留の程度に応じてSLEDやHDで対応し,術後5日目にICUを退室した。【考察】敗血症性ショックは体液分布異常性・末梢血管拡張性ショックが主体であるため,カテコラミン投与は蘇生治療のセオリーであるが,経過の中では血管トーヌスのみのコントロールが必要な時期がある。その時期にカテコラミンを使用すると頻脈効果から左心室充満時間の短縮を引き起こすことで,前負荷減少により血圧の低下を来すのではないかと推察され,結果的にVA単剤管理が有効であったと考えられる。【結語】ProAQTを指標に循環管理を行うことでVA単剤管理が有効であると思われる症例を判別できる可能性が示唆された。