第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

RRS

[O150] 一般演題・口演150
RRS03

2019年3月3日(日) 09:35 〜 10:35 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:倉迫 敏明(姫路赤十字病院 麻酔科)

[O150-3] 病院規模・RRS要請頻度とRRS患者転帰との検討 ー多施設レジストリ解析 最終報告ー

栗田 健郎1, 中田 孝明1, 内藤 貴基2, 安宅 一晃3, 藤谷 茂樹2, 織田 成人1 (1.千葉大学大学院 医学研究院 救急集中治療医学, 2.聖マリアンナ医科大学病院 救急医学, 3.奈良県総合医療センター 集中治療部)

【背景】RRS(Rapid response system)の有用性は広く報告され, RRSの質の向上のためには施設特性に合わせた運用が重要と考えられる.施設特性としては,病院規模・RRS要請頻度が挙げられるが,RRS患者の転帰と関連するかについては十分に研究されていない.
【目的】病院規模と各施設のRRS call rateの関係と転帰の関連を明らかにすることを目的とした.
【方法】本邦多施設レジストリのデータベース(2014―2018年)のうち, 欠損データを除く24施設4729症例を対象に後方視的に解析した. 病院規模(病床数)で24施設を3群(各群8施設)に分けた. 病院規模やRRS call rateと患者転帰(RRS接触時の心停止・serious outcome「RRS活動終了時の現場死亡例もしくは緊急ICU入室例」・1ヶ月死亡)が関連するか多変量解析を用いて解析した. 本研究は中間報告を第21回日本臨床救急医学会総会・学術集会で発表し, 最終的なデータ調整と再解析を行い, 今回最終報告に至った.
【結果】病床数とRRS call rateに有意な相関関係はなかった(Y=-0.0011*X+5.9, R2=0.0047, p=0.75). 病院規模の大きい施設ほど, 内科系患者, 悪性腫瘍を有する患者, 治療制限ありの患者が多い傾向にあった(病床数 small群 : medium群 : large群, 内科系 46.7% : 49.0% : 51.9% p<0.0001, 悪性腫瘍 9.0% : 22.1% : 27.8% p<0.0001, 治療制限あり 9.7% : 9.9% : 12.5% p=0.018). また病院規模が大きいほど, 夜間のRRS活動が多く, RRSを要請する理由として呼吸の異常が多かった(病床数 small群 : medium群 : large群, 夜間RRS起動 41.7% : 47.7% : 49.3% p=0.00060, 呼吸の異常 42.8% : 46.8% : 57.4% p<0.0001). 多変量解析の結果, 病床数の増多は1ヶ月死亡のリスク増加〔病床数100床あたり: odds ratio 1.10, 95%CI (1.00-1.18), p=0.00020〕と関連した.RRS call rateの増加はserious outcomeの減少と関連した〔RRS call rate/1000入院 1件あたり: odds ratio 0.94, 95%CI (0.91-0.98), p=0.0010〕.
【結論】規模の大きな病院では,RRS患者は,内科系・悪性腫瘍・治療制限患者が多く,1ヶ月死亡率が高かった.RRS call rateの増加は, 低いserious outcome発生率と関連した.