第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

RRS

[O151] 一般演題・口演151
RRS04

2019年3月3日(日) 10:35 〜 11:35 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:大谷 尚也(北里大学病院集中治療センター RST・RRT室)

[O151-6] 看護職員が直接RRSを要請できる環境作りを目指して

石村 徳彦1, 牧 盾2, 谷口 奈緒1, 賀来 典之3, 徳田 賢太郎2, 赤星 朋比古3, 堀 智恵1, 田口 智章2,3 (1.九州大学病院 看護部, 2.九州大学病院 集中治療部, 3.九州大学病院 救命救急センター)

【背景】Rapid Response System (以下RRS)成功の鍵は、看護職員が急変の徴候に早く気づき、RRSを要請することである。しかし当院では2013年の導入時から、当該診療科医師が初期対応後にRRS要請の判断をすることが多く、看護職員による異常の認識から要請までに時間を要して重篤化する症例が少なくない。そこで、看護職員によるRRS要請の増加を目的に、各部署の看護職員、医師およびその他の医療スタッフを対象に多職種RRSシミュレーショントレーニング(以下トレーニング)を行った。【目的】トレーニングが、看護職員のRRSに対する「認知」「知識」「考え」「要請時の心理的負担と要因」にどのような効果を与えるか検討することを目的に、研究を行った。【方法】平成29年6~12月に院内31部署を対象にトレーニングを行い、参加した看護職員90名にトレーニング前後でアンケートを行った。トレーニング前には、RRSについて知っているか、要請経験があるか、主にRRSを要請するのは誰かなどについて質問した。要請時の心理的負担とその要因、RRSの必要性については前後で質問し、その変化を解析した。【結果】看護職員の90%以上がRRSを認知しているが、要請は主に医師の判断で行われていた。看護職員が直接RRS要請をする事に85%が心理的負担を感じており、その要因はRapid Response Team (RRT)や当該診療科医師に対する隔意といった感情に関するものに加えて、患者のアセスメントに自信がないという回答が目立った。トレーニング後には心理的負担した看護職員は27%減少し、RRSの必要性を感じる看護職員は67%増加した。また、異常を発見したときの対処として60%が主治医への連絡と同時にRRSを要請すると答え、行動変化が期待される結果が得られた。【結論】RRSは看護職員に十分に認知されており、看護職員のRRS要請が少ない理由は心理的要因にあった。トレーニングは、心理的負担を軽減し、行動変化への動機付けとして有効だった。看護職員が直接RRSを要請できる環境を構築するには、トレーニング内容を見直す事により看護職員、当該診療科医師およびRRTが相互理解を深めるとともに、看護職員のアセスメント能力の向上が必要である。