[O152-2] 早期警告スコアで予期せぬ心停止に対する感度の検討ーパイロットスタディー
【背景】予期せぬ院内心停止を防ぐために早期警告スコア(EWS)の有用性が示唆されている。しかしEWSが心停止を防止できるかについての我が国のデータは乏しい。【目的】EWSで予期せぬ院内心停止を何時間前から抽出可能なのか明らかにする。【方法】2017年10月から8ヶ月間に生じたすべての予期せぬ院内心停止症例を後ろ向きに検討した。欠損値は正常値として扱った。【結果】予期せぬ心停止は54例(1000入院あたり〇〇)で、男性が61%,入院時Cerebral Performance Category(CPC)1ないし2が98%, 一般外来からの入院が72%で救急外来からの入院が24%であった。初期波形は無脈性電気活動が57%,心静止が28%,VT/VFが13%であった。心拍再開例は39%,30日生存率は26%でそのうちCPC1ないし2は18%であった。心停止の原因としては敗血症が最も多く24%であった。心停止の2,4,8,12,24,48時間前にNational Early Warning Score(NEWS)の高リスク群に該当するのはそれぞれ39%,26%,22%,20%,28%,17%であった。またそれぞれの時間までに一度でも高リスクに該当するのは39%,52%,61%,65%,70%,70%であった。【結論】心停止に対するNEWSは感度が低く,心停止の2時間前でも39%しかNEWSの高リスク群に該当しなかった。しかし心停止24時間以内に一度は基準に該当する症例は70%で見られ,入院患者では救急外来などの一点のみの測定となる状況とは有用性において違いが出てくると考えられた。本研究はパイロットスタディであり、欠損値扱いの再検討、乳酸など他の因子の検討、また他施設での同様の研究を行う予定である。