第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 症例

[O156] 一般演題・口演156
呼吸 症例06

2019年3月3日(日) 11:15 〜 12:15 第15会場 (国立京都国際会館1F Room H)

座長:北別府 孝輔(倉敷中央病院 集中医療センター)

[O156-7] NPPV装着患者における口腔ケア用スプレー介入の症例報告

大堀 奈保1, 松井 由希2, 白澤 理恵2 (1.元 埼玉県済生会栗橋病院, 2.埼玉県済生会栗橋病院)

【背景】口腔ケアに関しては急性期領域や感染予防の観点から多数の研究があり、口腔ケアの有効性・必要性は明らかになっている。先行研究では洗口液と保湿剤を用いての研究は報告されているが、NPPVを24時間装着する患者に保湿剤を用いての先行研究は現時点では報告されていない。NPPV装着患者による頻回な口腔ケアは、呼吸状態悪化、心負荷の増大や不整脈の出現などの原因にもなりうる。口腔内乾燥を軽減することで、これらのリスクを回避できると考えた。【目的】効果が持続する方法で、身体に直接的影響が少ないと思われ、尚且つたれ込み防止となり、看護師が簡易的に施行できる口腔ケア用スプレーに着目した。今回、NPPVを装着している患者に口腔ケア用スプレーを用いることで、口腔内乾燥の改善がみられた為その結果を報告する【臨床経過】症例:72歳。男性。入院中の経過:脳梗塞の患者。入院中に肺水腫を合併しNPPV装着となる。NPPV装着となったが口腔内乾燥が強い状態であった。3日間口腔ケア用スプレーを用いアセスメントシートチェック表に基づいて口腔内の観察を行った。測定方法として口腔内の評価を共有するためにOral Assessment Guide(OAG)を使用した。また、口腔内乾燥の程度についてはVASを用いて患者の感想を口頭で聴取した。実施は昼の口腔ケア時に行い、直前、直後、1時間後、3時間後に行った。 結果は2日目の「嚥下」以外全て3点から2点へ点数が減った。3日目になりすべての点数が2点となった。平均点数では1日目は22.5点であったが3日目は16点となった。VASでは1日目、2日目においてはVAS:10という結果であったが、3日目になると実施直後から3時間後までVAS:5を維持することが可能となった。また、むせることはなく、実施者である看護師からは「簡易的にできて、NPPVを完全に外すことなく使用できるので安心」といった言葉が聞かれた。 【結論】1.初回ケア介入時と最終評価自でOAG評価項目において改善がみられた。2.口腔ケア用スプレーは適度な粘度もあり、咽頭に向けずに舌背や頬粘膜に吹つけることに注意すれば垂れ込みの恐れも少ないと考えられる。今後の課題としては看護研究として口腔内水分量の測定を行いさらにより確実な看護ケアになるよう症例数を増やし検証する。5