第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

補助循環 研究

[O158] 一般演題・口演158
補助循環 研究03

2019年3月3日(日) 09:35 〜 10:35 第16会場 (国立京都国際会館2F Room I)

座長:森實 雅司(済生会支部神奈川県済生会横浜市東部病院臨床工学部)

[O158-3] Respiratory-ECMOにおける送脱血カニューレ感染・交換に関する後方視的検討

谷口 隼人1,2,3, 池田 督司1,2, 源田 雄紀1,2, 梅井 菜央1,2, 間瀬 大司1,2, 竹内 一郎3, 市場 晋吾1,2, 坂本 篤裕2 (1.日本医科大学外科系集中治療科, 2.日本医科大学麻酔科学教室, 3.横浜市立大学救急医学教室)

【背景】Respiratory-ECMO(以下ECMO)治療において感染合併は予後不良因子である。しかし、送脱血カニューレ感染を疑った場合、カニューレ交換の妥当性については不明である。【目的】ECMO管理中におけるカニューレ感染の発生頻度ならびにカニューレ交換の効果を検討する。【方法】後方視的観察研究で、期間は2015年4月から2018年8月までとした。カニューレ感染の定義は、中心ライン関連血流感染症(以下CLABSI)の定義を用いた。対象は当院SICUにてECMO治療中にカニューレ感染を疑いカニューレ交換を行なった症例とした。当科ではvancomycin予防投与を行なっている。対象例と非対象例の患者背景、ECMO導入前情報、管理方法、転帰について比較検討し、次にカニューレ感染の発生頻度ならびにカニューレ交換の効果を検討した。カニューレ交換の効果については、抜去後血液培養陰性かつ臨床的改善が見られた場合を効果ありとした。【結果】期間中のECMO症例は41例で、対象例は4例、カニューレ交換件数はのべ10件だった。カニューレ交換手技に関連した合併症はなかった。実際のカニューレ感染は3症例で認められ、CLABSIの定義に基づく感染率は2.7%であった。対象例と非対象例での比較検討では、年齢、ECMO管理期間、SICU滞在期間に有意差を認めた(p<0.05)。カニューレ交換の効果については、表に示す。【結論】本検討では、カニューレ感染を疑った場合のカニューレ交換による臨床的効果は、リスクを考慮すると少ないと考えられ、まずは抗菌薬変更等で対応できる可能性が示唆された。
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