第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄

[O16] 一般演題・口演16
鎮痛・鎮静・せん妄01

2019年3月1日(金) 09:00 〜 10:00 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:林下 浩士(大阪市立総合医療センター 救命救急センター・集中治療センター)

[O16-3] 脳卒中ケアユニットにおけるせん妄の特徴

西田 岳史, 呉村 有紀, 村上 知義, 梶川 隆一郎, 芳村 憲泰, 吉原 智之, 鶴薗 浩一郎, 若山 暁 (大阪脳神経外科病院 脳神経外科)

【背景】集中治療室で生じるせん妄は、死亡率の上昇や入院期間の延長、認知機能の低下などにつながる重要な合併症と位置づけられており、本学会によるJ-PADガイドラインでもせん妄管理の重要性が強調されている。しかしながら、脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit:SCU)におけるせん妄に関しては十分に検討されていない。【目的】SCUにおけるせん妄の発症率やリスク因子、臨床像を明らかにすること。【方法】研究デザインは単施設前方視的観察研究とした。2018年7月から2018年9月の間、SCUに24時間以上滞在した成人脳卒中患者を対象とした。せん妄の有無は1日2回ICDSC(Intensive Care Delirium Screening Checklist)を用いて評価した。ICDSC 4点以上をせん妄と定義し、SCU滞在中にせん妄を発症した患者をせん妄群、せん妄を発症しなかった患者を非せん妄群とした。SCU滞在中にICDSCを評価できなかった患者は除外した。評価項目は患者背景(年齢、性別、認知症の既往歴)、脳卒中関連項目(病型、障害部位、NIHSS、外科的治療介入の有無)とし、せん妄との関連を検討した。【結果】対象患者は81例で、せん妄の発症率は31%(25例)であった。せん妄の分類は低活動型が12例(48%)、混合型が9例(36%)、過活動型が4例(16%)であった。せん妄群は非せん妄群と比較して高齢で(85歳vs 71歳, p<0.01)、認知症の有病率が高く(24% vs 7%, p=0.03)、脳卒中の重症度が高かった(NIHSS; 9 vs 2, p<0.01)。せん妄発症と関連する項目として、脳出血(OR 3.1, 95%CI 1.1-8.9, p=0.04)や前頭葉の病変(OR 2.8, 95%CI 1.0-7.8, p=0.05)、外科的治療介入(OR 4.1, 95%CI 1.1-17.6, p=0.04)がリスク因子であった。【結論】脳卒中患者の約3割がSCU滞在中にせん妄を発症した。高齢者や認知症患者はせん妄を発症しやすく、脳出血や前頭葉の病変、外科的治療介入はせん妄の発症と関連することが示唆された。