[O161-3] 呼吸機能検査による小児の抜管基準の再検討について
背景 以前より呼吸機能検査による小児の抜管基準は、CVC15ml/kg以上、MIF-35cmH2O以下、PIFR4ml/sec/cm以上の3条件を満たすことが抜管の条件とされてきた。しかし、近年では抜管後にnasal high flow(NHF)を使用するなど、抜管後の管理も以前と変化してきており、抜管基準の再検討の必要性が考えられる。目的 NHF、NCPAP、NPPVなど抜管後のデバイスが豊富になってきた現在、以前必要とされていた抜管基準を再検討できるのではないかと考え本研究で検討した。対象と方法 当小児救命救急センターにおいて2017年7月から2018年8月までに人工呼吸管理を行った患者で既気管切開例、気管切開移行例、死亡症例を除いた38名について呼吸機能検査などについて後方視的に検討を行った。 38名の平均年齢は2.3歳(0か月-11歳)、疾患の内訳は、呼吸器疾患58%、循環器疾患2%、中枢神経疾患29%、消化器疾患11%であった。抜管後76%の患者にNHFまたはNCPAPが使用された。 当センターでの抜管基準は、抜管前日にCPAP5cmH2O、PS5cmH2Oを2時間施行して血液ガスの異常がないことを確認する。そして抜管当日に呼吸機能検査を行い、上記基準を参考に抜管できるかを検討する。『最終的に抜管するか』や『抜管後何らかの呼吸補助デバイスを使用するか』は主治医判断としている。 呼吸機能検査機器は、アイビジョンArfel3を使用した。結果1抜管できた症例ですべての基準を満たした割合は47%であった。2抜管できた症例でCVCの基準を満たさない割合が26%であった。3抜管できた症例でMIPの基準を満たさない割合が15%であった。4抜管できた症例でPIFRの基準を満たさない割合が44%であった。結論 CVC、MIP、PIFRは、それぞれ肺のコンプライアンス、瞬発的な筋力、気道抵抗との相関関係が考えられている。本研究からは、抜管できた患者の44%がPIFRの基準を下回っており再検討の余地があるように考えられた。また、この基準が作成された当時と比較して抜管後の呼吸補助デバイスが各段に進歩している現状では、抜管基準全体の再検討も必要と考えられ、大規模臨床研究の必要性が示唆された。