[O20-3] 重症肺炎による敗血症性ショックに対して、VA-ECMOからVV-ECMOへブリッジし、集学的治療により救命した一例
症例は喫煙歴のある59歳男性。元来健康で介護職に従事されていた。来院当日夕方、自宅内で体動困難となり、前医へ救急搬送となった。重症肺炎による敗血症性ショックの診断で気管挿管され、初期輸液行われたが、ショック状態を血圧低下認め、翌日未明に当院へ転院搬送となった。来院後、広域抗菌薬投与および大量輸液、ノルアドレナリンを使用しても収縮期血圧は60台のままであった。集中治療室へ入室後、心エコー上、左室でびまん性に壁運動収縮能低下認め、敗血症性心筋症と判断。ショック状態遷延したため、し、VA-ECMOを導入した開始となった。ICU入室時、SOFA scoreは19、APACHEII scoreは32であった。その後は徐々に循環動態安定し、カテコラミンも減量でき、心エコー上、左室壁運動の改善を認め、VA-ECMO離脱challenge testにても循環動態の破綻はなかった。しかし、P/F 100以下の低酸素血症を認めたたため、第5病日にVV-ECMOへ移行した。その後、徐々に呼吸状態も改善傾向をみせ、、第8病日にVV-ECMOも離脱可能となった。敗血症性の末梢循環不全と凝固障害によりで両四肢末梢は虚血壊死に陥り、特に両下肢は感染を合併していたため、第30病日および37病日に切断術を施行した。術中に胃潰瘍から大量出血し出血性ショックとなり、大量輸血を要し、その後もたびたび潰瘍から出血を繰り返した。術後は創部の洗浄を連日行うことで、感染のコントロール得られ、第102病日創閉鎖を行った。また、陽圧換気による気胸の治療にも難渋したが、胸膜癒着療法によって第40病日にドレーンを抜去することができた。現在は呼吸器離脱を目指しながら、転院へ向けてリハビリを行っている。上記のように重症肺炎による重症な敗血症性ショックに対してVA-ECMOからVV-ECMOに移行し、その後、ECMOから離脱後も下肢壊死や消化管出血により治療に難渋したが、集学的治療により人工心肺装置を使用することで救命し得た1例を経験したので報告する。