第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

感染・敗血症 症例

[O20] 一般演題・口演20
感染・敗血症 症例04

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:50 PM 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:端野 琢哉(関西電力病院)

[O20-6] 劇症型溶血性連鎖球菌感染症治療中に腸管壊死を来たし、外科的切除術を含む集学的治療にて救命しえた1例

濱口 眞成1, 緒方 嘉隆1, 瓜生 恭章2, 堀元 隆二3, 大田 修平4, 遠藤 幸丈4, 岩井 敦志5, 石原 英樹2, 原田 博雅2 (1.八尾徳洲会総合病院集中治療部, 2.八尾徳洲会総合病院呼吸器内科, 3.八尾徳洲会総合病院消化器内科, 4.八尾徳洲会総合病院外科, 5.八尾徳洲会総合病院救急科)

【背景】劇症型溶血性連鎖球菌感染症は、感染症法にて届出に必要な条件として、β溶血性連鎖球菌が血液または通常ならば菌の存在しない臓器から検出されるショック症状を伴う多臓器不全と定義されている。今回、我々は、侵入門戸不明のG群溶血性連鎖球菌菌血症による septic shock 治療経過中に、腸管壊死を来たし、外科的切除術を行ったところ、腸粘膜からG群溶血性連鎖球菌の菌塊が検出され、溶連菌の腸管感染に伴う壊死と判断した症例を経験した。【臨床経過】症例は78歳、男性。発熱・悪寒を主訴に当院受診し、感染臓器不明のseptic shock、DIC、急性腎障害の診断で緊急入院(APACHE II score 37点、SAPS II score 76点、SOFA score 10点)。入院時より全身、特に両下肢の網状皮斑があり、急速に拡大し、指尖の黒色変化を来した。第2病日に入院時の血液培養からG群溶血性連鎖球菌が検出され、劇症型溶血性連鎖球菌感染症と診断した。集中治療管理により一時的に軽快傾向となったが、第16病日に消化管出血あり、下部内視鏡検査にて多発直腸潰瘍を認めた。第17病日にハルトマン手術施行。S状結腸から直腸を中心に広範な腸管壊死を認めた。術中所見では下腸間膜動脈本幹の拍動は触知良好であり、病理所見では明らかな血栓や塞栓は認めず、粘膜構造が崩壊して一部菌塊を伴う壊死組織を認めた事から、腸管壊死の原因としては、shockに伴う末梢循環不全ではなく、溶連菌の腸管感染に伴う壊死と診断した。術後経過は良好で、第23病日に抜管、第37病日にICU退室し、リハビリを継続して第102病日に独歩にて軽快退院となった。【結論】劇症型溶血性連鎖球菌(G群)感染症の1例を経験した。経過中に腸管壊死を併発したが、外科的切除を含む集学的治療を行い、救命しえた。