[O20-5] 重症急性胆管炎においてVA-ECMO導入下でERBDを施行し救命した1症例
【背景】重症急性胆管炎は臓器傷害をきたし集中治療を要する病態で、集中治療のもとに緊急胆道ドレナージを施行しなければ生命に危機を及ぼす状態とされている。しかし、重症急性胆管炎において不安定な循環動態や凝固異常のため、緊急胆道ドレナージが困難となる場合がある。現在、適切な輸液に加え、昇圧剤投与でも循環動態が安定しない敗血症性ショックにおいて、体外循環Venoarterial extracorporeal membrane oxygenation (VAーECMO)が有効であったとする報告がある。しかし、重症急性胆管炎による治療抵抗性敗血症性ショックに対してVAーECMOを導入し、内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(endoscopic retrograde biliary drainage ERBD)を施行した報告はない。今回我々は重症急性胆管炎による敗血症性ショックに対しVAーECMO導入下にERBDを施行し、救命した1例を経験したので報告する。
【臨床経過】77歳、男性。全身倦怠感を主訴に救急要請され当院へ搬送された。胆管炎による敗血症性ショック、DICと診断し、ノルアドレナリン、バソプレシン、ステロイド投与するも循環動態改善を認めなかった。不安定な循環動態、抗血小板薬内服歴およびDICによる凝固異常を認め、その全身状態では、緊急胆道ドレナージが施行できないと判断した。治療継続するも循環動態改善を認めなかったためVA-ECMOを導入し、循環動態が安定した来院12時間後にVAーECMO 導入下でERBDを施行した。結石など明らかな胆道閉塞を認めなかったが、カニュレーションにより膿性胆汁の排出を認めた。内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic naso-biliary drainage ENBD)及び内視鏡的胆管ステンティング(endoscopic biliary stenting EBS)を行い、合併症なく終了した。第2病日には循環動態が改善傾向となり昇圧剤使用量及びVA-ECMO 流量を漸減し、第3病日にVAーECMOを離脱した。第4病日に昇圧剤投与なく循環動態維持が可能となり、第5病日には抜管した。第11病日にENBDを抜去。嚥下機能低下を認めたため、リハビリ目的に第23病日転院となった。
【結論】重症急性胆管炎による治療抵抗性敗血症性ショックに対しVAーECMOを使用し救命した。VAーECMOにより1) 治療抵抗性の敗血症性ショック早期に循環動態を安定化させ、2) ERBDを迅速に施行できたことが救命に寄与したと考えられる。
【臨床経過】77歳、男性。全身倦怠感を主訴に救急要請され当院へ搬送された。胆管炎による敗血症性ショック、DICと診断し、ノルアドレナリン、バソプレシン、ステロイド投与するも循環動態改善を認めなかった。不安定な循環動態、抗血小板薬内服歴およびDICによる凝固異常を認め、その全身状態では、緊急胆道ドレナージが施行できないと判断した。治療継続するも循環動態改善を認めなかったためVA-ECMOを導入し、循環動態が安定した来院12時間後にVAーECMO 導入下でERBDを施行した。結石など明らかな胆道閉塞を認めなかったが、カニュレーションにより膿性胆汁の排出を認めた。内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic naso-biliary drainage ENBD)及び内視鏡的胆管ステンティング(endoscopic biliary stenting EBS)を行い、合併症なく終了した。第2病日には循環動態が改善傾向となり昇圧剤使用量及びVA-ECMO 流量を漸減し、第3病日にVAーECMOを離脱した。第4病日に昇圧剤投与なく循環動態維持が可能となり、第5病日には抜管した。第11病日にENBDを抜去。嚥下機能低下を認めたため、リハビリ目的に第23病日転院となった。
【結論】重症急性胆管炎による治療抵抗性敗血症性ショックに対しVAーECMOを使用し救命した。VAーECMOにより1) 治療抵抗性の敗血症性ショック早期に循環動態を安定化させ、2) ERBDを迅速に施行できたことが救命に寄与したと考えられる。