[O21-5] 新設病院ハイケアユニット(HCU)における培養同定菌の検討
【背景】新設民間病院において院内での細菌培養検査ができていなかったが、2017年9月より院内での細菌培養が可能となった。【目的】HCUにおいて今後の適正な感染治療を講じるための一助としてHCUから提出され院内検査で同定された菌の種類や抗菌薬に対する感受性パターンを把握し将来的にはアンチバイオグラムを作成することを目的とした。【方法】2017年9月から2018年8月までの1年間にHCUから検体が提出され同定された菌のデータベースを作成し検討した。【結果】菌が同定された検体は215(喀痰146、尿34、カテーテル7、血液4)検体であった。全体ではEscherichia coli(25)、Klebsiella pneumoniae(20)、MRSA(19)、Pseudomonas aeruginosa(18)が高頻度に、喀痰ではMRSA(17)、Klebsiella pneumoniae(15)、Pseudomonas aeruginosa(15)が多く、尿ではEscherichia coli(10)が最も多く次いでEnterococcus faecalis(4)が同定された。カテーテルではEnterococcus faeciumと Staphylococcus epidermidisが各2検体であった。全体でMRSAを除く高頻度に同定されたEscherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosaに対してはAMK(S/R:61/0)、MEP(59/3)、GM(58/2)、CFPM(55/6)、IPM/CS(52/2)が比較的良好な感受性を持っていた。一方CEZ(2/26)やABPC(10/42)には耐性を持つものが多くみられた。MRSAに対してはVCM、TEIC、LZD、ABK、STが100%、AMKが95%の同定菌に感受性があった。また、本データベースの活用によって交差感染の可能性が懸念される場合の検出や耐性の変化を把握できる可能性が示唆された。【結論】1年間のデータであるが当HCUでの同定される頻度の高い菌や感受性パターンを把握することができるようになり、より迅速で適正な抗生物質投与が可能となった。