[O22-2] 【優秀演題(口演)】糖尿病モデルマウスにおける敗血症性血管炎の超微形態の検討
【背景】健常な血管内皮細胞の内腔にはグリコカリックス層が存在し、微小血管の恒常性を保つ。血管内皮グリコカリックスは容易に損傷剥離し、敗血症などの急性ストレス下のみならず糖尿病でも障害される。糖尿病患者の易感染性は、感染時血管内皮グリコカリックスへの損傷が更に加わり臓器障害が重篤化することが要因の一つとなっている可能性がある。【目的】糖尿病モデルマウスの血管内皮グリコカリックス傷害を血管炎誘発前後で形態学的に評価する。【方法】9-12週齢の雄性の野生型マウス(WT)と糖尿病モデルマウス(db)に対し、リポ多糖(LPS)を15mg/kg腹腔内投与し敗血症性血管炎モデルを作成、48時間後の生存率を比較した。またLPS投与前と投与24時間後で肺および肝臓、心臓、腎臓の血管内皮グリコカリックスの形態学的変化を走査型および透過型電子顕微鏡で評価した。【結果】48時間生存率はWTマウス 75 %、dbマウス 0 %とdbマウスで有意に低下した。また超微形態学的検討を行ったところ、LPS投与前ではdbマウスの血管内皮グリコカリックスはWTマウスに比して菲薄化し、一部の血管内皮細胞が血管内腔に露出し、浮腫を認めた。LPS投与24時間後ではその傾向はさらに顕著であった。【結論】dbマウスではLPS投与前から血管内皮グリコカリックスが障害されており、LPS投与後更に損傷を受け、生存率が有意に低下した。