[O29-1] 心エコーの右心腔内空気像を契機に偶然発見され、保存的に加療した胃壁内気腫症の1例
【背景】
右心系に空気を認める原因として、カテーテル関連、外科手術、外傷といったものが一般的である。
今回、我々は右心腔内に空気が流入する心エコー所見を契機に胃壁内気腫症(GE)を診断し、保存的に加療した稀な症例を経験した。
【臨床経過】
53歳男性。既往歴に高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎不全があり、脳梗塞に対し入院加療中であった。入院2日目よりクインケ浮腫による舌腫脹が出現。その後症状が増悪し上気道閉塞を生じたため、入院5日目に気管挿管を行い集中治療室に入室した。入院7日目に経胸壁心エコーを施行したところ右心房、右心室に浮遊性の空気像を認めた。肝静脈から下大静脈に空気が流入する所見もあり、腹部エコーでは門脈ガス像を認めた。心エコー所見と腹部エコー所見を図表に示す。腸管虚血除外のために腹部単純CTを撮影した。CTでは胃壁内に空気を認めGEが疑われた。CT撮影後の心エコーでは右心腔内の空気は消失していた。また、経過中PaO2が軽度低下していた以外バイタルサインは安定しており、乳酸値の上昇も認めなかった。翌日、上部消化管内視鏡を施行したところ虚血性胃炎を認めGEの原因と考えられた。以降同様の所見を認めることなく経過し、抜管後集中治療室を退室、その後軽快退院した。
【結論】
稀ではあるがGEや門脈ガス血症が右心腔内の空気貯留の原因となることがある。一般的に門脈ガス血症は致死的疾患に合併することが多いが、本症例では保存的に加療できた。
右心系に空気を認める原因として、カテーテル関連、外科手術、外傷といったものが一般的である。
今回、我々は右心腔内に空気が流入する心エコー所見を契機に胃壁内気腫症(GE)を診断し、保存的に加療した稀な症例を経験した。
【臨床経過】
53歳男性。既往歴に高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎不全があり、脳梗塞に対し入院加療中であった。入院2日目よりクインケ浮腫による舌腫脹が出現。その後症状が増悪し上気道閉塞を生じたため、入院5日目に気管挿管を行い集中治療室に入室した。入院7日目に経胸壁心エコーを施行したところ右心房、右心室に浮遊性の空気像を認めた。肝静脈から下大静脈に空気が流入する所見もあり、腹部エコーでは門脈ガス像を認めた。心エコー所見と腹部エコー所見を図表に示す。腸管虚血除外のために腹部単純CTを撮影した。CTでは胃壁内に空気を認めGEが疑われた。CT撮影後の心エコーでは右心腔内の空気は消失していた。また、経過中PaO2が軽度低下していた以外バイタルサインは安定しており、乳酸値の上昇も認めなかった。翌日、上部消化管内視鏡を施行したところ虚血性胃炎を認めGEの原因と考えられた。以降同様の所見を認めることなく経過し、抜管後集中治療室を退室、その後軽快退院した。
【結論】
稀ではあるがGEや門脈ガス血症が右心腔内の空気貯留の原因となることがある。一般的に門脈ガス血症は致死的疾患に合併することが多いが、本症例では保存的に加療できた。