第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

内分泌・代謝 症例

[O3] 一般演題・口演3
内分泌・代謝 症例01

Fri. Mar 1, 2019 3:05 PM - 4:05 PM 第6会場 (国立京都国際会館1F スワン)

座長:蒲地 正幸(産業医科大学病院 集中治療部)

[O3-2] 中心静脈栄養の継続中に、高Ca血症を呈した一例

相山 佑樹, 岡村 真太郎, 高野 季代子, 櫻町 惟, 北谷 真子, 林野 泰明, 辻井 悟 (天理よろづ相談所病院 麻酔科)

【症例】72歳、男性【臨床経過】既往歴に慢性腎臓病あり。7年前に胃癌で胃全摘術を受け、吸収不良症候群に対して在宅で中心静脈栄養(TPN)を長期継続していた。TPNの組成は、50%糖液 200 ml、腎不全用アミノ酸注射液(キドミン)200 ml、硫酸Mg 5 mEq、 グルコン酸カルシウム8.5% 5 ml、リン酸Na 0.5 mmol/ml 5 ml、高カロリー輸液用基本液(ハイカリック) 1000 ml、高カロリー輸液用総合ビタミン剤(ビタジェクト・キット)A液 5 ml、B液5 ml であった。 3ヶ月前から悪心を伴う全身倦怠感が持続し、高Ca血症を認めたため、精査加療目的に入院した。入院時の血液検査では、補正Ca 13.7 mg/dl、P 5 mg/dl、25-ヒドロキシビタミンD 11 ng/ml(基準値 30 ng/ml以上)、1-25-ジヒドロキシビタミンD 39 pg/ml (基準値 20~60 pg/ml)、intact PTH 5 pg/ml (基準値10~65 pg/ml)であった。Ca過剰投与による高Ca血症でPTHの分泌が抑制された状態と診断した。カルシウム投与の中止、1日2000 mlの生理食塩水の投与、フロセミドの投与にて、血中Ca濃度は低下し、悪心・全身倦怠感も消失した。TPNの組成を変更、再開の後に高Ca血症の再増悪なく経過し、独歩退院した。【結語】慢性腎臓病をもつ患者へのTPN施行の際には、定期的な血液検査で電解質を評価する必要がある。