第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

消化管・肝・腎 研究

[O30] 一般演題・口演30
消化管・肝・腎 研究

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:小野寺 悠(山形大学医学部附属病院高度集中治療センター)

[O30-4] 当院における胃壁内気腫26名の後方視的検討

高木 大輔, 具嶋 泰弘, 前原 潤一 (済生会熊本病院 救急総合診療センター)

【背景】胃壁内気腫は一般臨床においては稀であるが,術後患者や重症患者など集中治療管理中には散見される所見である。予後不良とする報告が多い一方で自然治癒することもあるなど,同所見を認めた際の意義や治療方針については苦慮することも多い。本邦において胃壁内気腫を包括的に検討した研究は認めない。【目的】胃壁内気腫患者の背景や実態を明らかにし,予後に関連した因子を探索することで加療方針の手がかりを得ることが本検討の目的である。【方法】2007年8月から2018年8月にかけて,CT読影所見で「気腫性胃炎」や「胃壁在ガス」など胃壁内気腫を示唆する所見をスクリーニングした。死亡時画像病理診断を除く26名の患者を抽出し発生状況や転帰を電子カルテから後方視的に収集した。【結果】平均年齢は69歳であり,男女比は22対4であった。21名(81%)が入院中に発症しており,9名(35%)がICUでの発症であった。SOFAスコアの中央値は6点,13名(50%)に感染症を合併しており,8名(31%)が何らかのショックを伴っていた。門脈内気腫は13名(50%),腸管壁内気腫は7名(27%)に認めた。開腹術及び内視鏡による治療は行われず,16名(62%)が何らかの抗菌薬加療がなされた。48時間以内の死亡は1名,7日以内の死亡は3名,30日以内の死亡は7名(27%)で認めた。30日以内の死亡をアウトカムとし2群間比較を行ったところ, クレアチニン(Cre)(p=0.03),アルブミン(Alb)(p<0.01),何らかのショックの合併(p<0.01),SOFAスコア(p=0.01)に有意差を認めた。上記因子及び年齢で多変量解析を行ったところ,Alb及びCreは有意にアウトカムと関連を認めた(p<0.01)。【結論】胃壁在気腫患者における30日以内の死亡にはAlb低値及びCre高値が有意に関連する。