[O31-6] ECMO施行中の難治性小腸出血をimipenem/cilastatin sodium (IPM/CS)を用いた動脈塞栓術にて止血した一例
【背景】Intensive care unit(ICU)で臨床的に重要な消化管出血は3%程度である.そのうち小腸出血が原因であることはまれではあるが,通常の内視鏡操作では診断・治療ができないことから治療に難渋することが多い.今回,重症呼吸不全に対してextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を導入中に消化管出血を合併し内視鏡では出血源を同定しえず治療に難渋したが,造影CTで小腸出血の診断となりIMP/CS混濁液で塞栓し止血を得られた一例を経験した.塞栓方法の工夫とICU領域におけるinterventional radiology(IR)について言及したい.【臨床経過】多発血管炎の肺病変による重症呼吸不全に対してECMOを導入していた47歳女性が,経過中に出血源不明の消化管出血を合併した.サイトメガロウイルス腸炎や虚血性腸炎の合併は認めず,上部下部内視鏡,小腸カプセル内視鏡を施行するも出血源不明で,輸血に不応性であり治療に難渋した.2解明の造影CTで出血源が同定できたため血管造影検査を行った.破綻した血管は細径でマイクロカテーテルのカニュレーションが困難であったため,血管径と難容性の性質を利用しCS/IPM混濁液で塞栓し止血した.その後出血は認めず,経口摂取開始後も合併症なく経過している.【結論】出血源不明の小腸出血に対し,IRを含む積極的なmultidisciplinary approachによって,ようやく出血源を同定できた一例であった.CS/IPMによる血管塞栓の報告は少ないもの,本例では有効であった.