[O33-3] 横紋筋融解症による急性腎障害の発症の危険因子に関する検討
【背景】横紋筋融解症は薬剤や筋挫滅などで起こり、急性腎障害(AKI)を引き起こす疾患である。AKIの危険因子は、脱水、敗血症、アシドーシスと言われ、またCK値20000IU/L以下ではAKIのリスクは低いといわれている。【目的】当院の横紋筋融解とAKI発症との関係を調査すること。【方法】2017年1月~2017年12月にCK値≧10000IU/Lを呈した患者を後方視的に抽出し、年齢、性別、原因疾患、最大CK値、慢性腎不全(CKD)・高K血症・最低pH・敗血症・昇圧剤使用・炭酸水素ナトリウム投与の有無を調査しAKI発症群・未発症群の2群間で比較検討を行った。【結果】AKI発症群および未発症群はそれぞれ、43例、30例であった。最大CK値は2群間で有意差は認めなかった(p=0.50)。2群間で有意差を認めたものは、CKDの有無(p<0.01)、高K血症の有無(p<0.01)、最低pH(p<0.01)、敗血症の有無(p<0.01)、昇圧剤使用の有無(p<0.01)、炭酸水素ナトリウム投与の有無(p=0.03)であった。【結論】横紋筋融解症においてCKDの存在、アシドーシス、敗血症、ショック(昇圧剤使用)などはAKI発症のリスクが高かった。最大CK値はAKI発症に関する有意差はなく、最低でCK値10000IU/L程度でAKIを発症した例も見られ、CK値でAKIのリスクを判断するのは望ましくないと考えられた。横紋筋融解症の治療においては、CK値よりもアシドーシス、敗血症、循環管理に気を付けるべきである。