第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

腎 研究

[O33] 一般演題・口演33
腎 研究02

Fri. Mar 1, 2019 4:40 PM - 5:30 PM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:今泉 均(東京医科大学麻酔科学分野・集中治療部)

[O33-4] 救命救急センター搬送症例における尿中Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin (NGAL)の測定意義

本澤 大志, 古谷 良輔, 宮崎 弘志, 望月 聡之, 大塚 剛, 佐藤 公亮, 三澤 菜穂, 松村 怜生, 武田 知晃 (横浜医療センター 救命救急センター)

【背景】近年、急性腎不全の発症予測マーカーとして尿中NGALが注目されている。当院でも尿中NGALの測定を2017年7月より導入した。ただし、重症患者におけるその臨床的意義については報告が乏しい。【目的】救命救急センターに搬送される種々の症例における腎障害について、尿中NGALを通してその病態を検討すること。【方法】2018年6月1日から8月31日まで、当院の救命救急センターにおいて尿中NGALの測定を行った患者について後方視的診療録レビューを行った。【結果】46例で尿中NGALの測定を行っており、これらを検討対象とした。年齢の中央値は76歳で、26例(56%)が男性であった。また、39例(82%)がICU入室症例であった。診断の内訳は、敗血症(18例)、中毒・環境異常(8例)、消化管穿孔(6例)、心肺停止蘇生後(3例)、多発外傷(3例)、その他(8例)、であった。46例中、30例(65%)で急性腎不全を発症した。また、8例(17%)で緊急透析を必要とし、そのうち6例がrenal indicationを満たしていた。尿中NGALの中央値は243ng/mlであった。また、尿中NGALの測定と同日に測定した血中Creの中央値は1.27mg/dl、尿中β2 microglobulinの中央値は4892μg/lであった。AKI発症群とAKI非発症群それぞれでの尿中NGALの中央値[四分位範囲]は順に567ng/ml[121,1448]、138ng/ml[18,295]であり、AKI発症群で有意に高かった(p=0.002)。【結論】尿中NGALは重症患者のAKI診断に役立てられる可能性があり、今後疾患別の検討や、尿中NGALの測定のタイミングについて検討する余地があると考えられる。文献的考察を加えて報告する。