第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

腎 研究

[O33] 一般演題・口演33
腎 研究02

2019年3月1日(金) 16:40 〜 17:30 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:今泉 均(東京医科大学麻酔科学分野・集中治療部)

[O33-5] くも膜下出血症例における急性腎障害予測因子の検討-CT Angiography前の尿酸値はAKI発症の予測因子である-

福田 理史1,2, 鍋田 雅和1,3, 牟田 隆則1,3, 吉富 宗建1,4, 竹内 靖治1,4, 宇津 秀晃1,3, 森岡 基浩4, 深水 圭2, 山下 典雄1,3, 高須 修1,3 (1.久留米大学病院 高度救命救急センター, 2.久留米大学医学部 内科学講座 腎臓内科部門, 3.久留米大学医学部救急医学講座, 4.久留米大学医学部脳神経外科学講座)

【背景】
集中治療を要する症例においては、急性腎障害を発すると予後が悪化することが知られている。また急性腎障害を発症したくも膜下出血症例ではより積極的な集中治療管理が必要であったとの報告もあり、くも膜下出血症例の急性腎障害の発症予測因子を特定することは有益である。
【目的】
くも膜下出血症例の急性腎障害発症予測因子を明らかにする。
【対象】
2013年4月~2018年7月の期間に久留米大学病院高度救命救急センターに搬入された症例で、くも膜下出血と診断し、CT Angiographyの後に治療を開始した204症例のうち、くも膜下出血重症度分類における重症度が高く積極的治療ができなかった37症例、維持透析1症例を除外した166症例を対象とした。
【方法】
対象症例のうち、急性腎障害を発症した群をAKI群、急性腎障害を発症しなかった群をnonAKI群と2群に群別し、急性腎障害発症に関与する因子について2群比較を行い、p値の低かった項目で2項ロジスティック回帰分析を行った。急性腎障害は搬入から48時間以内に血清クレアチニン 0.3mg/dL以上の上昇ないし搬入時の血清クレアチニンから1.5倍以上の上昇と定義した。
【結果】
AKI群は34症例、nonAKI群は132症例であり、急性腎障害の発症頻度は20.5%であった。2群間比較では有意に男性が多く、搬入時血液検査におけるヘマトクリット値(p<0.001)、血清アルブミン値(p=0.003)、血清尿酸値(p<0.001)が有意に高値であったが、搬入時クレアチニン値には有意差を認めなかった(0.74±0.41 vs 0.62±0.33 mg/dL)。p値が低かったヘマトクリット値、血清アルブミン値、血清尿酸値でロジスティック回帰分析を行ったところ、血清尿酸値のみが独立した腎障害発症の予測因子であった(hazard ratio 1.504, 95% confidence interval 1.108-2.041, p=0.009)。
【考察】
くも膜下出血症例の急性腎障害はCT Angiographyの造影剤の関与が考えられる。造影剤による腎障害はラジカルが関与するとの報告もあるが、高尿酸血症は活性フリーラジカルの放出に関連すると考えられるため今回の結果に繋がった可能性があると考えられた。
【結語】
搬入時の血清尿酸値高値は、くも膜下出血症例の急性腎障害発症予測因子である可能性がある。