[O34-5] アルコール離脱期にTorsades de pointesを繰り返した1例
【背景】Torsades de poites(TdP)の一因として後天性QT延長症候群があり、薬剤や電解質異常が原因となることが多い。今回アルコール離脱期に複合的な要因でQT延長をきたし、TdPに至ったアルコール依存症の1例を経験したため報告する。【臨床経過】症例は57歳男性。アルコール多飲歴があり、X-4年アルコール依存症と診断され入院加療するも、断酒できずその後も焼酎1L/日程度の飲酒を継続していた。これまでに原因不明の失神を繰り返していたが精査はされておらず、飲酒主体で間食を摂取するような生活を続けていた。X年体動困難となり救急搬送され精査加療目的に入院となった。入院時の心電図でQT延長(QTc=0.584sec)とV3からV6で新規陰性T波を認めた。血液検査では低K血症(3.5mEq/L)と低Mg血症(1.1mg/dL)を認め、経胸壁心臓超音波検査では左室駆出率35%と心機能低下を認めた。入院後は電解質の補正を行いながら、アルコール離脱せん妄予防としてジアゼパムの内服を開始した。第2病日Kは4.0mEq/Lまで改善していたものの、モニター上short-long-shortタイプの心室性期外収縮からTdPが出現した。除細動し一時停止するも、その後もTdPを繰り返す状況であり、鎮静し人工呼吸器管理を行った。緊急で冠動脈造影検査を施行するも有意狭窄は認めず、カリウムの持続投与とマグネゾール静注にて電解質の補正を施行した。その後TdP出現せず、第6病日に深鎮静での管理を終了とした。第9病日の段階でQTcは0.493msecまで改善していたが延長は持続している状態であった。その後時間経過とともにQT延長は徐々に改善し、第28病日の心電図ではQTcは0.423msecまで改善し、心機能の改善も認めた。【結論】アルコール離脱期に電解質異常、心筋障害、離脱せん妄などの複合的な要素が原因でQT延長をきたしTdPにいたった症例を経験した。