[O38-4] 少量フロセミド投与後の反応尿量は、ネガティブバランスに対する臓器認容性を予測しうる
【目的】循環動態の安定したARDS患者において、利尿剤を用いてネガティブバランスを目指した管理は人工呼吸期間を短縮させると報告されている。しかし不適切なタイミングでの利尿は、急性腎傷害など肺外臓器の障害をきたしうる。これまで利尿の適切なタイミングを示しうる絶対的なパラメーターは証明されていない。そこで我々は少量フロセミド投与後の反応尿量が、ネガティブバランスに対する臓器忍容性を予測しうるかを調べた。昨年の集中治療医学会において本研究について中間解析を発表したが、本報告は最終報告である。【方法】当院ICUに入院し、急性呼吸不全により挿管・人工呼吸管理をされ、循環動態の安定した成人患者を対象に、前向き観察研究を行った。まず少量のフロセミドを投与し(eGFR 50以上 10mg、eGFR 30-50 20mg)、4時間反応尿量を観察した。その後は24時間でマイナス1000mlのバランスを目指して適宜利尿を行い、低血圧のエピソードや輸液負荷が必要になった場合は利尿を中止した。アウトカムは臓器忍容性の有無とし、利尿を中止した場合や急性腎傷害が発症・進行した場合を臓器忍容性がないと定義した。【結果】2016年10月から2018年8月に導入基準を満たした患者60名を対象とした。そのうち臓器忍容性がなかった患者は12名で、低血圧のエピソードがあり利尿中止となった患者が7名、急性腎傷害が発症・進行した患者が5名であった。フロセミド投与後1、2、3、4時間までの尿量は、いずれも有意に臓器忍容性がなかった群で少なかった。フロセミド投与後4時間の尿量について、500mlをカットオフとすると感度88%、特異度75%で臓器忍容性の有無を予測し得た(ROC AUC=0.826, p=0.001)。【結論】少量フロセミド投与後の反応尿量は、ネガティブバランスに対する臓器忍容性を予測しうる。