[O39-5] 血友病A患者に発症し噴門側胃切除及び膵体尾部切除及び集学的治療にて根治を得た胃GISTの1例
【緒言】血友病Aは伴性劣性遺伝で,血液凝固第VIII因子活性の先天的欠乏により出血傾向を呈する比較的稀な疾患である.血友病A患者の消化管手術においては,周術期の出血の制御が問題となり,凝固因子を補充することで安全に手術を施行した報告が散見される.今回我々は,血友病Aに発症し噴門側胃切除及び膵体尾部切除を施行し根治を得た胃GISTの1例を経験したので報告する.【症例】50歳代,男性,血友病A及びC型慢性肝炎でフォロー中,画像検査にて腹部腫瘤指摘.EUS-FNA施行され,膵浸潤を伴うGISTの診断で当科へ紹介となった.【手術及び術後経過】噴門側胃切除及び膵体尾部切除術を施行.周術期は血液内科と連携し第VIII因子製剤を適宜補充した.第14病日に縫合不全を発症,ドレナージ施行.第40病日にドレナージ刺入部より活動性出血を認め,縫合止血を得た.第54病日に退院となる.【考察及び結語】血友病A患者における消化管手術の報告は比較的稀であるが,報告例の多くで術後出血の合併症が問題となる.丁寧な手術操作,周術期の凝固因子管理が重要である.