[O40-4] ヘパリン誘発性血小板減少症患者におけるthromboelastographyの使用経験
【背景】Thromboelastography(TEG)は、周術期の止血凝固管理におけるPoint of Careモニターとして普及しているが、ヘパリン誘発性血小板減少症(HIT)患者への使用報告は少ない。今回、静脈脱血-動脈送血体外式膜型人工肺(VA-ECMO)管理中にHITを合併し、TEGによるモニタリングが有用であった症例を経験したので報告する。
【臨床経過】70歳台女性。ヘパリン使用体外循環下の開心術後に合併した低心拍出量症候群に対し、VA-ECMO管理を要した。出血の懸念がなくなった術後6日よりヘパリンによる抗凝固療法を開始したが、術後8日から輸血抵抗性の血小板減少が進行するとともに、複数の動静脈に血栓形成を認めた。HITを疑い術後12日にヘパリンを中止し、APTT50-60秒を目標にアルガトロバン投与を開始した。並行してTEGによる抗凝固モニタリングを行い、経過中、有意な出血性・血栓性合併症を認めず、血小板数も回復傾向を示した(表)。術後18日にVA-ECMOを離脱し、術後28日にワーファリン内服を開始した。術後21日に機能アッセイ法によりHITの診断が確定した。
【結論】HIT合併のECMO患者においては,血栓形成を抑制するための強力な抗凝固療法が必要になる一方で、過剰になれば致死的な出血性合併症を生じうる。止血・凝固能の複雑で厳密な管理が求められる状況では、そのモニタリング法としてTEGが有効である可能性がある。
【臨床経過】70歳台女性。ヘパリン使用体外循環下の開心術後に合併した低心拍出量症候群に対し、VA-ECMO管理を要した。出血の懸念がなくなった術後6日よりヘパリンによる抗凝固療法を開始したが、術後8日から輸血抵抗性の血小板減少が進行するとともに、複数の動静脈に血栓形成を認めた。HITを疑い術後12日にヘパリンを中止し、APTT50-60秒を目標にアルガトロバン投与を開始した。並行してTEGによる抗凝固モニタリングを行い、経過中、有意な出血性・血栓性合併症を認めず、血小板数も回復傾向を示した(表)。術後18日にVA-ECMOを離脱し、術後28日にワーファリン内服を開始した。術後21日に機能アッセイ法によりHITの診断が確定した。
【結論】HIT合併のECMO患者においては,血栓形成を抑制するための強力な抗凝固療法が必要になる一方で、過剰になれば致死的な出血性合併症を生じうる。止血・凝固能の複雑で厳密な管理が求められる状況では、そのモニタリング法としてTEGが有効である可能性がある。