第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

中毒

[O46] 一般演題・口演46
中毒04

Fri. Mar 1, 2019 11:20 AM - 12:10 PM 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:一二三 亨(財団法人聖路加国際病院救急部)

[O46-5] 文献からみたマムシ咬傷の分析とマムシ咬傷分類の問題点

辻本 登志英1, 千代 孝夫2 (1.日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療部, 2.野崎徳州会病院 救急センター)

【目的】マムシ咬傷についての一般的な疫学や処置・治療についてはまとまったデータが少ない。今回マムシ咬傷の疫学・処置・治療について過去の症例集積から調査を行い、マムシ咬傷分類の問題点を検討し新たな分類を提案した。【対象】過去28年間に日本国内でマムシ咬傷として10例以上の報告が掲載された文献49編2068症例について、発生時期や年齢などの疫学、マムシ咬傷に対する処置、治療、マムシ咬傷時に発生する全身症状、検査値異常を後方視的に検討した。【結果】マムシ咬傷は夏期、50才以上、男性に多かった。受傷から受診までの時間は72.9%が60分以内、90%以上は6時間以内に医療機関を受診していた。最大腫脹に達するのは92.5%が72時間以内であった。局所切開や、抗菌薬・ステロイド・破傷風予防・セファランチン投与は行われている症例が多かった。マムシ抗毒素血清は45.6%に投与されており、副作用は10.5%にみられた。死亡率は0.27%であった。マムシ咬傷における全身症状は眼症状の記載が最も多く(15.2%)、消化器症状(4.2%)、胸部症状(10.3%)も報告されていた。検査値異常はCK上昇(57.0%)、肝機能障害(28.4%)、腎機能障害(2.0%)、血小板減少(3.8%)の報告があった。現在広く用いられているマムシ咬傷分類においては全身症状や検査値異常の位置づけが明確にされておらず、眼症状があるにもかかわらずGrade4以下の記載があった。われわれはGrade分類を腫脹度のみとし、出現する症状や検査値異常を別に記載することを提案した。【結語】マムシ咬傷における処置や治療は未だに統一された方法がなく、経験に頼ることが多い。今回の調査で得られた結果と分類法を参考として、前向き調査が可能な処置や治療について多施設の症例集積を行い、根拠に基づいたマムシ咬傷処置や治療を検討する必要があると思われた。