[O48] 一般演題・口演48
蘇生 研究01

[O48-6] VA-ECMO管理を要した心停止患者における高酸素血症と予後との関連についての検討

富田 静香¹, 内田 雅俊¹, 菊地 研², 小野 一之¹ (1.獨協医科大学 救急医学講座, 2.獨協医科大学病院 心臓・血管内科)

【背景】高酸素血症は心停止後症候群の予後不良因子といわれているが、VA-ECMO(veno arterial extracorporeal membrane oxygenation)管理を要した心肺停止患者において高酸素血症と予後との関連は明らかではない。
【目的】本研究はVA-ECMO管理を要した心停止後患者において、VA-ECMO開始後24時間以内のPaO₂と、退院時予後との関連について調査することを目的とする。
【方法】2012年1月～2018年3月に獨協医科大学病院にてVA-ECMOを要した成人心肺停止患者について後方視的観察研究を行った。VA-ECMO開始後24時間以内に死亡、withholdとなった患者、PaO₂の情報が不明だった患者を除外した。PaO₂ ＞ 300mmHgを高酸素血症とした。生存退院患者(生存群)と死亡退院患者(死亡群)において、VA-ECMO開始後24時間以内のPaO₂最高値、高酸素血症の有無、PaO₂の時間加重平均について比較した。
【結果】観察期間内に134例の成人心肺停止患者でVA-ECMO管理が行われ、そのうち89例が分析対象となった。年齢の中央値は65歳、69/89人(77.5%)が男性だった。院内心停止が61/89人(68.5%)、初期波形は45/89人(50.6%)がshockable rhythmだった。34/89(38.2%)人が生存退院した。VA-ECMO開始後24時間のPaO₂最高値、高酸素血症の割合、PaO₂時間加重平均ともに生存退院患者で低値だった。(PaO₂最高値: 生存群284mmHg 、死亡群 310mmHg、高酸素血症割合：生存群 38.2%(13/34)、死亡群 54.5%(30/55)、PaO₂時間加重平均：生存群177mmHg、死亡群205mmHg)。
【結論】VA-ECMOを要した心停止患者においても高酸素血症は予後不良因子である可能性がある。