[O48-7] 初期波形がnon-shockable rhythmの院外心停止に対するECPRの有効性の検討
【背景】心室細動・無脈性心室頻拍の院外心停止に体外循環式心肺蘇生法(ECPR)を実施することで、神経学的転帰が改善する可能性が示されている。一方、無脈性電気活動や心静止といったnon-shockable rhythmの院外心停止に対するECPRに関しては少数例での症例報告はあるが、その適応や有用性は現在でも不明確である。大阪府済生会千里病院千里救命救急センターでは適応とプロトコールを決めてECPRを導入しており、初期波形がnon-shockable rhythmの場合、80歳以下、心停止の目撃あり、来院時に何らかの反応がある症例をECPRの適応としており、慢性併存疾患の悪化、悪性腫瘍末期、ADL不良や高度認知症は除外している。【目的】ECPRを実施したnon-shockable rhythmの院外心停止患者の短期的な神経学的転帰を検討した。【対象および方法】2012年1月から2017年12月に初期波形がnon-shockable rhythmの院外心停止でECPRを導入した40症例を対象に後方視的に検討した。全例、来院後速やかに血管造影室でECPRの導入を行い、原因検索として冠動脈造影やCTを含めた検査を行い、必要な治療を施したのち、ICUで循環管理や厳格な体温管理を含めた集学的治療を施行した。1ヶ月後、またはすでに退院している場合は退院時の神経学的転帰をCPCで評価し、CPC1および2を転帰良好と、CPC3以上を転帰不良と判定した。【結果】対象40症例のうち神経学的転帰良好は4例(10%)、転帰不良は36例(90%)であった。心停止の原因は転帰良好群では急性心筋梗塞1例、肺塞栓症2例、低体温・溺水1例であり、転帰不良群では急性心筋梗塞11例、他の心疾患5例、肺塞栓症4例、大動脈解離6例、頭蓋内出血2例、その他8例であった。なお、転帰不良群のうち2例は左冠動脈主幹部の急性心筋梗塞症例であり、経過中にGCS-M6を確認したため脳蘇生が期待できたが、心不全の増悪で死亡した。【結論】non-shockable rhythmの院外心停止に対して、一定の基準を設けたうえでECPRを導入すれば、良好な神経学的転帰が得られる可能性がある。しかし、たとえ脳蘇生が得られても、原疾患によっては救命困難な症例もあるため、適応に関しては更なる検討が必要である。