[O54-3] 当院における小児ECMO症例の病院内搬送に関する経年的変化の後方視的研究
【背景・目的】Extracorporeal membrane oxygenation (ECMO) 診療における患者背景が複雑化し、施設内ECMO搬送を要する状況が増えているが、施設間搬送と同様に慎重な管理が必要である。また、患者・ECMO回路固定を定型化し、安全性向上はじめ効率化と適応拡大を進めてきた。施設内ECMO搬送の経年的変化を分析し、質的変化を評価した。
【方法】当院でECMO管理を要した18歳未満症例のうち、施設内ECMO搬送を行った症例を対象とした。2010年3月から2014年12月(前期)と2015年1月から2018年8月(後期)の2群に分けて、ECMO形態、搬送目的、所要時間、有害事象等について診療録を用いて後方視的に比較・検討した。
【結果】全57件35症例。前期 vs. 後期の比較では、搬送件数 15 vs. 42件、年齢 9ヶ月 vs. 1歳、体重 6.5 vs. 5.6kg(中央値)。VA 12 vs. 25,VV 1 vs. 9,VVDL 1 vs. 8、開胸 8 vs. 19件。搬送目的は、CT検査 9 vs. 17件、手術(カテーテル検査含)6 vs. 22件,核医学検査 0 vs. 5件であった。CT検査において、搬送準備時間は44 vs. 42分で変化なかったが(p>0.05)、ICU外滞在時間は51vs. 39分と有意に短縮していた(p=0.04)。短時間搬送では臨床的に問題にならない搬送前後の中枢温変化がほぼ全例でみられ、前期・後期間の変化はなかった(p>0.05)。一方、長時間搬送が想定される核医学検査では、移動用加温器を使用した。これにより中枢温変化は-0.45℃と、有意な体温低下を防止できた(p>0.05)。体温低下以外の軽微な有害事象が6搬送8イベント生じており、発生頻度は25%前後で変化は見られなかった(p>0.05)。
【結論】前期・後期間で施設内ECMO搬送の件数は約3倍に増加し、治療撤退を判断するための核医学検査や終末期医療の一環としてのpalliative transportなど、搬送目的も多様化した。ECMO搬送にともなう体温低下はとくに小児で問題となり、移動用加温器の使用が有効であった。また、搬送の定型化により所用時間も短縮された。一方、重篤なイベントはないものの、軽微な有害事象の発生率の改善が、今後の課題として認識された。
【方法】当院でECMO管理を要した18歳未満症例のうち、施設内ECMO搬送を行った症例を対象とした。2010年3月から2014年12月(前期)と2015年1月から2018年8月(後期)の2群に分けて、ECMO形態、搬送目的、所要時間、有害事象等について診療録を用いて後方視的に比較・検討した。
【結果】全57件35症例。前期 vs. 後期の比較では、搬送件数 15 vs. 42件、年齢 9ヶ月 vs. 1歳、体重 6.5 vs. 5.6kg(中央値)。VA 12 vs. 25,VV 1 vs. 9,VVDL 1 vs. 8、開胸 8 vs. 19件。搬送目的は、CT検査 9 vs. 17件、手術(カテーテル検査含)6 vs. 22件,核医学検査 0 vs. 5件であった。CT検査において、搬送準備時間は44 vs. 42分で変化なかったが(p>0.05)、ICU外滞在時間は51vs. 39分と有意に短縮していた(p=0.04)。短時間搬送では臨床的に問題にならない搬送前後の中枢温変化がほぼ全例でみられ、前期・後期間の変化はなかった(p>0.05)。一方、長時間搬送が想定される核医学検査では、移動用加温器を使用した。これにより中枢温変化は-0.45℃と、有意な体温低下を防止できた(p>0.05)。体温低下以外の軽微な有害事象が6搬送8イベント生じており、発生頻度は25%前後で変化は見られなかった(p>0.05)。
【結論】前期・後期間で施設内ECMO搬送の件数は約3倍に増加し、治療撤退を判断するための核医学検査や終末期医療の一環としてのpalliative transportなど、搬送目的も多様化した。ECMO搬送にともなう体温低下はとくに小児で問題となり、移動用加温器の使用が有効であった。また、搬送の定型化により所用時間も短縮された。一方、重篤なイベントはないものの、軽微な有害事象の発生率の改善が、今後の課題として認識された。