第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

新生児・小児 研究

[O54] 一般演題・口演54
新生児・小児 研究02

2019年3月1日(金) 10:30 〜 11:10 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:籏智 武志(大阪母子医療センター集中治療科)

[O54-4] 我が国の集中治療室における小児長期入室患者の特徴と予測スコアの作成

野坂 宜之1, クナウプ 絵美里2, 頼藤 貴志3, 塚原 紘平2 (1.シダースサイナイ メディカルセンター 小児科, 2.岡山大学病院 高度救命救急センター, 3.岡山大学 大学院 環境生命科学研究科)

【背景】我が国の集中治療室における小児の長期入室患者の全体像は現時点で不明である。【目的】小児の集中治療室入室患者の入室期間の長短による特徴を明らかにし、さらに長期入室を予測する簡便なスコアを作成する。【方法】2014年10月から2016年9月までの2年間に日本重篤小児診療レジストリ(Japanese Registry of Pediatric Acute Care: JaRPAC)に登録された16歳未満の症例を対象とした後ろ向きコホート研究を行った。重回帰分析による長期入室患者(15日以上)と非長期入室患者(14日以下)との比較により長期入室をきたす要因を抽出し(主要評価項目)、さらに長期入室を予測するスコアを作成した(二次評価項目)。また、2016年10月から2017年9月までの1年間にJaRPACに登録された症例をvalidation setとして用い、作成したスコアの妥当性を検証した。【結果】 6209人の対象患者のうち長期入室患者は452人(7.3%)と少ない一方で、のべ入院日数の36.4%を占めた。長期入室群の方が非長期入室患者群と比較して約6倍も死亡率が高かった(1.4% vs 8.2%)。また、長期滞在を予測する因子として9項目を抽出し作成したスコア(表)で、3点以上をカットオフ値としROC曲線で検討したところ、感度・得意度いずれも70%以上となり、validation setによる検証でも同等の結果を得た。【結論】集中治療室長期入室小児患者の高い臨床的重要性を示した。スコアリングの活用により入室早期に長期入室の予測が可能になり、患者診療計画ならびに医療資源の有効活用の一助となることが期待される。
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