第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

血液浄化 研究

[O56] 一般演題・口演56
血液浄化 研究01

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:40 PM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:日高 正剛(大分大学医学部附属病院)

[O56-5] 急性血液浄化療法成績から分析したHTLV-1陽性患者の特徴

金城 紀代彦, 佐久田 豊, 長間 将樹 (沖縄協同病院 血液浄化療法科、集中治療室)

【背景】ATLのみならず、HTLV-1陽性患者でも免疫能が低下し、日和見感染に罹患しやすいと報告されている。
【目的】HTLV-1陽性の感染症患者で重症化と治療成績の低下が示唆された。
【方法】2010年4月~2018年3月、血液浄化療法を施行したHTLV-1陽性の56例の分析を行った。
【結果】感染性疾患では血症性ショックと感染症によるMOFが主であった。血液浄化法は、PMMA膜を用いた持続透析または間歇的血液浄化の単独または併用が主であった。感染症性疾患群は、非感染症群に比較して有意に女性が多く、年齢や改善率、28日生存率に有意差を認めなかった。ATL細胞陽性4例中の死亡2例は女性でCorynebacteriumおよびCandidaによる感染症であった。一方、生存2例はいずれも男性で、ATL性胸膜炎のと肝障害によるAKIの症例であった。両者ともにPMMA膜ヘモフィルターを用いた血液浄化が奏功した。
【結論】非感染群と比較し、感染群での治療効果、生存率、ともに有意差を認めず、HTLV-1陽性患者では感染症の有無に関わらず血液浄化療法の治療効果が期待できる。一方、ATL細胞陽性群は日和見感染症による死亡を認め、細胞性免疫能低下の反映と思われた。治療成績向上のため、さらなる集約的治療の構築が必要と思われた。また、日和見感染の重症化や治療成績に性別が寄与する可能性が示唆されたが、症例数が少なく、今後の症例の蓄積を継続したい。