[O56-4] Azotemiaを呈した急性腎障害症例に対する血液浄化療法の緊急導入の現状
【背景】急性腎障害は救急・集中治療領域において遭遇する頻度の高い疾患であり、急性腎障害に対する血液浄化療法はICUにおける必須の治療手段である。血液浄化療法の導入基準として明確なエビデンスはないものの、少なくとも高カリウム血症、肺水腫を伴う溢水、高度のアシドーシスについては絶対適応とされてきた。それ以外にも臨床経験に基づき各施設において慣習的な導入基準が決められているのが現状である。Azotemiaもその一つであり、例えば血液浄化療法の開始のタイミングを検討した大規模な臨床研究においてはBUN 112mg/dL以上である症例では必ず導入されている。臨床の現場においても、azotemiaを呈するために血液浄化療法が必要と判断されて自施設に転送されてくる症例が多くあるが、必ずしも血液浄化が必要となる訳ではないのが現状である。
【目的】入院時にazotemia(BUN>120mg/dL)を呈した急性腎障害症例の腎予後と血液浄化療法の導入の現状を明らかにすること。
【方法】2012年1月から2017年12月までの6年間、入院時BUN値が120mg/dL以上である成人症例を対象とした。ただし消化管出血症例、慢性腎不全(CKD)および維持透析症例、入院後24時間以内の死亡症例を除外した。対象症例の腎機能の推移、腎予後や生命予後を検討した。また、血液浄化療法を導入した症例ではその導入理由を検討した。
【結果】対象症例から除外基準に該当した症例を除いた45例のうち入院後24時間以内に速やかに血液浄化療法を導入した症例は19例あった。導入の理由としては高カリウム血症、肺水腫を伴う溢水、尿毒症症状といった絶対適応が16例とそのほとんどを占めた。19例のうち7例はCKDに進展し、さらに3例が維持透析に移行した。血液浄化療法を導入しなかった症例は29例あり、CKDに移行したのは2例あったが、維持透析に至った症例はなかった。また、入院後24時間以降に腎機能の増悪を認め血液浄化療法を導入した症例はなかった。
【結論】血液浄化療法の絶対適応のない、azotemiaのみを呈した急性腎障害症例においては、血液浄化療法を導入することなく腎機能が改善し、腎予後が良好である症例が多かった。今後大規模な症例数での検討は必要であるが、少なくともazotemiaのみを呈した症例に対し血液浄化療法を緊急導入する必要はないと考えられた。
【目的】入院時にazotemia(BUN>120mg/dL)を呈した急性腎障害症例の腎予後と血液浄化療法の導入の現状を明らかにすること。
【方法】2012年1月から2017年12月までの6年間、入院時BUN値が120mg/dL以上である成人症例を対象とした。ただし消化管出血症例、慢性腎不全(CKD)および維持透析症例、入院後24時間以内の死亡症例を除外した。対象症例の腎機能の推移、腎予後や生命予後を検討した。また、血液浄化療法を導入した症例ではその導入理由を検討した。
【結果】対象症例から除外基準に該当した症例を除いた45例のうち入院後24時間以内に速やかに血液浄化療法を導入した症例は19例あった。導入の理由としては高カリウム血症、肺水腫を伴う溢水、尿毒症症状といった絶対適応が16例とそのほとんどを占めた。19例のうち7例はCKDに進展し、さらに3例が維持透析に移行した。血液浄化療法を導入しなかった症例は29例あり、CKDに移行したのは2例あったが、維持透析に至った症例はなかった。また、入院後24時間以降に腎機能の増悪を認め血液浄化療法を導入した症例はなかった。
【結論】血液浄化療法の絶対適応のない、azotemiaのみを呈した急性腎障害症例においては、血液浄化療法を導入することなく腎機能が改善し、腎予後が良好である症例が多かった。今後大規模な症例数での検討は必要であるが、少なくともazotemiaのみを呈した症例に対し血液浄化療法を緊急導入する必要はないと考えられた。