第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

新生児・小児 研究

[O60] 一般演題・口演60
新生児・小児 研究03

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:稲田 雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター集中治療科)

[O60-4] 本邦における先天性心疾患を基礎に持ち集中治療管理を要した小児救急患者の特徴

芳賀 大樹1, 數田 高生1, 大場 彦明1, 岩田 博文1, 赤嶺 陽子1, 山本 泰史1, 大塚 康義1, 宇城 敦司1, JaRPAC Study Group2 (1.大阪市立総合医療センター 小児集中治療部, 2.http://jarpac.org)

【背景】先天性心疾患(CHD)は出生1%に発生、90%は成人まで生存可能となり、患者数は急増しているが、CHD救急患者を対象とした報告は乏しい。【目的】本邦での集中治療管理を要したCHD救急患者の実態把握【方法】全国25施設(CHD専門13、専門外12)による日本重篤小児診療レジストリ(JaRPAC)登録データを利用した観察研究。2013-2017年度に院外から予定外ICU入室した小児患者を対象にCHD患者の特徴を記述【結果】対象3240例中CHD 297例(9.2%)。CHD分類:軽度(単純)39%、中等度31%、重度(複雑)30%。CHD有無の比較でCHD群はより低月齢(有:中央値17か月[IQR4-46]vs無:30[9-87], p<0.001)で、既気切、基礎疾患合併が多く(RR2.8[95%CI, 1.9-4.1], RR2.0[1.8-2.1] )、CHD専門施設受診、独歩受診が多く(RR1.1[1.0-1.1], RR1.8[1.6-2.0])、搬送距離が長かった(10km[6-17]vs8km[4-15], p<0.001)。外因、脳神経疾患が少なく(RR0.1[0.04-0.2], RR0.3[0.2-0.5])、循環器、呼吸器疾患が多かった(RR5.5[4.3-7.1]、RR1.8[1.6-2.1])。人工呼吸、動脈ライン、一酸化窒素吸入、手術、気管切開を要する割合が多かった(RR1.3[1.2-1.5], RR1.4[1.2-1.5], RR5.0[2.7-9.1], RR1.3[1.0-1.6], RR2.1[1.4-3.3])。人工呼吸、ICU日数は長かったが(0日[0-5]vs0日[0-3], 5日[2.8-10]vs4日[2-7], 共にp<0.001)、ICU死亡に差は無かった(RR1.2[0.6-2.4])。退室経路は直接退院が少なかった(RR0.4[0.2-0.7])。CHD疾患別の検討では無脾症で敗血症、消化管出血、不整脈が多く(RR15.6[4.3-57]、RR17.3[3.2-93]、RR8.7[2-38])、単心室で痙攣が多く(RR3.0[1.1-8.2])、呼吸器疾患が少なかった(RR0.5[0.3-0.9])。年度別ではCHDの専門外施設への入室が年々増加していた(2.8, 4.5, 7.4, 15.6%, 傾向検定p=0.017)。【結論】本邦におけるCHD救急患者の特徴ある実態を捉えることができた。急増するCHD救急患者の対応は喫緊の課題であり、本研究の結果はCHD救急患者の診療改善に寄与するものと考える。