第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

新生児・小児 研究

[O60] 一般演題・口演60
新生児・小児 研究03

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:稲田 雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター集中治療科)

[O60-5] 小児心臓血管外科術後における、中心静脈カテーテル関連血栓症の検討

神野 眞輔1, 和田 翔1, 平山 祐司1, 京極 都1, 本村 誠1, 水野 光規1, 今井 一徳1, 池山 貴也1, 村山 弘臣2 (1.あいち小児保健医療総合センター 集中治療科, 2.あいち小児保健医療総合センター 循環器部)

【背景】中心静脈カテーテルの合併症の一つに血栓があるが、小児での中心静脈カテーテル関連の血栓に関しての報告は少ない。心臓血管外科症例では、段階的な姑息術などによって複数回の手術がなされる場合がある。そのため、血栓形成は手術時の中心静脈カテーテルの挿入を困難にする可能性があり、特に上大静脈の血栓は乳び胸の発症に関与する場合や、Glenn循環やFontan循環を妨げうるため、血栓の形成を回避しなければならない。しかし、血栓形成の頻度や発生因子を明らかにした報告は少ない。【目的】小児心臓血管外科術後の患者における、中心静脈カテーテル留置後の血栓形成の頻度や発生因子を検証する。【方法】2018年2月1日から2018年8月31日までに、当院小児ICUに入室した心臓血管外科術後の児で中心静脈カテーテルを留置した症例を対象とし、血管エコーを用い中心静脈カテーテル抜去翌日に血栓形成の有無を判定し、診療録をもとに後方視的に検討した。月齢、カルシウムの持続静脈投与、カテーテルの留置期間を、血栓形成に関する要因としてロジスティック回帰分析にて検討した。p<0.05を統計学的有意とした。【結果】期間中の心臓血管外科術後の入室数は111例(男54例: 女57例)、入室後のカテーテル入れ替えを含めた総カテーテル数は117、月齢の中央値は9か月(IQR:1か月-27か月)、体重の中央値は6.3kg(IQR:3.33kg-10.1kg)、PIM3による予測死亡率の中央値は1.1%(IQR:0.8%-1.8%)、人工心肺症例は117例中95例の81%であった。カテーテルの留置期間の中央値は4日(IQR:3日-6日)で、Blalock-Taussig短絡術後などでヘパリンの予防投与を施行していたのは117例中40例(34%)であった。中心静脈カテーテル抜去後に同部位の血管エコーを施行していたのは117例中70例であり、47例では施行されていなかった。血管エコーを施行した70例中、血栓形成は48例の68%に認め、他の22例には血栓を認めなかった。血栓形成の要因に関して、統計学的有意差はなかった。【考察】過去の報告と比べ、予想以上に血栓の発生率が高かった。しかし、エコーを施行していない症例はカテーテル留置が短期間の症例や年長児に多く、血栓形成を認めなかった可能性がある。今後は全例にエコーを施行し症例数の蓄積により、当院での正確な発生率や発生因子の検討をしていきたい。